出版社内容情報
長嶋のサヨナラホームランで知られる「天覧試合」は正力松太郎にとって36年前の事件に決着をつける大芝居だった。その事件とは……
内容説明
のちの昭和天皇を狙ったテロリストの一発の銃弾によって警視庁を免官となった正力は、戦後、読売を部数日本一に押し上げ、日本プロ野球生みの親、民放テレビの始祖、原発のパイオニアとして華々しい復活を遂げる。だが輝かしい正力神話の裏には、決して顧みられることのなかった影武者たちの働きが常にあった。
目次
第10章 復権と球場―シベリアの水源を救え
第11章 国土と電影―“正力テレビ”が生んだ英雄・力道山
第12章 原発と総裁―「核燃料」を「ガイ燃料」という“原発の父”
第13章 発火と国策―ウラン爺さん、人形峠に踊る
第14章 天皇と興行―読売巨人軍は男芸者か
第15章 宿業と花輪―「もういい」と臨終の一言
第16章 蓋棺と磁力―いまも大魔王が生きている
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
28
戦後復興の夢。鈴木(惣)氏、松本氏、原田氏、そして柴田。理想を現実とするためのヒト・モノ・カネを引き寄せる”魔力”が正力氏の底力!但し、原発は異質。首相の座を念頭にした執念。提灯記事には呆れるも、三木氏・大野氏の早死も天命。ナベツネ氏も含め、メディアの在り方を問わざるを得ない”政争”に閉口・・・。一方、柴田氏の名参謀振りが印象的。世界を相手に八面六臂。言葉ではなく想いと信念が、時代を動かす。名声や手柄ではなく夢!不思議なことに、正力氏も影武者の面々も皆人生を謳歌したのではないかと感じさせるなぁ。2015/05/03
スプリント
8
まさに怪物です。 正力さんや務台さんからするとナベツネさんはまだ小物という感じがしますね。 柴田さんという参謀役の人が気になりました。2020/10/05
honey
5
正直、正力松太郎なんて知らなかった。「プロ野球の父」と呼ばせるために、野球のルールも知らないのに、影武者たちに導入を急がせて、手柄は自分に。「原発の父」と呼ばれて総理大臣になるために、原発導入を急がせた。原発のげの字も知らないのに。暴君。虚栄心。猜疑心。名誉欲。正力の横暴ぶりを丹念な取材から明らかにする著者渾身の大作。読むのも相当疲れたけれど、夢中になれました。すごい本だった。 2011/09/24
ななっち
4
読売新聞がプロ野球とともにいかに発展してきたか、また原発をマスメディアが喧伝していかに国策にしていったか、今の混迷の時代、そして福島原発の事故を経て読むと、考えさせられます。 2012/09/01
vagabond830
4
「我が我が」でここまで大きな事業をできたのは、時代のタイミングもあったんだろうが、やっぱすげぇなと。本人の我欲にも圧倒されるが、柴田、務台などの優秀な参謀達の悲哀たるや。特に務台は同郷ということもあって、長年の不遇とそれに負けない不屈の精神や、晩年の小正力的な変節など、せつなくて泣けてくる。2012/01/27
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