出版社内容情報
時刻表の片隅に掲げられ、貧しくささやかに赤字にもめげず一生懸命に頑張っている北海道から鹿児島までの中小私鉄を鉄道エッセイの第一人者が暖かな目差しで描く
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
7
再読。先日、夕張支線が廃線となって、たしか「駅は見ている」「日本探見二泊三日」で夕張駅やその周辺にふれていたな、とマニア心がうずいて古本屋をのぞいて見たところあったのが本書。私鉄めぐりがテーマで夕張支線となんら関係ないと思いきや、冒頭、夕張支線の清水沢駅から出ていた三菱大夕張鉄道が登場とあれば読まずにはいられない。廃線跡はその地域の産業衰退史なわけで、旅客輸送が存続の念頭に置かれる現代の鉄道とは異なり、とくに私鉄の場合、敷設目的がはっきりしていて、産業の盛衰や時代背景が濃厚でドラマにあふれている。2019/04/06
アメヲトコ
5
昭和57年刊。時刻表の奥の方にわずかに掲載される地方小私鉄=おくのほそ道を巡った紀行文集。著者が作家として最も油がのっていた時期の作品だけに、文章が絶品で、曾良役?の編集者とのやり取りにも実に味があります。しかしここで取り上げられた私鉄の半数以上は今やなく、嗚呼昭和は遠くになりにけり。2016/02/28
またゆき
4
既にこの当時から経営の厳しかったローカル私鉄のほとんどはもう姿を消している。どんな車両が走っていただとか、どんな歴史があったとかは調べればすぐにわかることだけれど雰囲気まではなかなか知ることが出来ない。 けれども、この本を読んでるとなんだか本当に乗ったことがある気分になってしまうのよね。2012/09/09
ちょーのすけ
3
11月7日放送の火野正平「こころ旅」の目的地が、菊池桃子がCM撮影をした吉ケ原駅というもので、そう耳にした途端、同和鉱業片上線でのポッキーのCMだなと思って、宮脇俊三さんの本に地方の私鉄ばかりを旅するものがあったなと思い出し、30年以上ぶりの再読。はぁ、素晴らしい。当時も比類なき鉄道エッセイの書き手だと思っていたけど、やっぱりこんな達人とは「もう逢えないかもしれない」と認識。いや「かもしれない」じゃないよね。きっと逢えない。2019/11/11
後ろのお兄さん
3
ん十年ぶりに再読。担当が「名取くん」から「明円くん」に変わったくだりで、「なんだか踊りの師匠がお寺になったみたい」にニヤリしながら、ん十年前に読んだことも思い出した。くだらないことばかり覚えているものだ。 この本に載っている私鉄の多くは80年代に廃止になっていて、80年代ってそういう時代だっんだなということに気づかされる。もちろんその私鉄を乗るために使った寝台特急・急行や昼行特急も多くは存在しない。銀河も白鳥も。2019/03/26