文春文庫<br> 天皇と東大〈4〉大日本帝国の死と再生

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文春文庫
天皇と東大〈4〉大日本帝国の死と再生

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  • サイズ 文庫判/ページ数 483,/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167330224
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

1945年8月、日本は劇的に変わる。解体を回避した天皇制と東京帝国大学の功罪に見る、日本人の歴史意識とは。壮大なる完結篇。

内容説明

昭和20年8月15日、日本のかたちは劇的に変貌した。大日本帝国の解体、天皇の人間宣言、そして国家のための人材養成を旨としていた帝国大学の変質―。「あの戦争はなぜ始まり、なぜすべてを失うほどの大敗北を喫するに至ったのか」と考えつづけた著者が、七年にわたり書き継いだ歴史ノンフィクションの金字塔、ここに完結。

目次

経済学部教授を獄中に葬ったスパイH
経済学部三国志、宿命の権力闘争
河合派の崩壊と戦時経済研究会
「大逆」と攻撃された津田左右吉の受難
軍艦総長・平賀譲の経済学部大粛正
戦時経済の寵児・土方成美 絶頂からの転落
粛学の立役者、田中耕太郎の四面楚歌
難局の経済学部長 舞出長五郎の小心姑息
「無罪、さもなくば重罰を」河合栄治郎の深謀
反ファッショ人民戦線と河合栄治郎
平賀東大・戦争体制下の大繁栄
南原繁総長と昭和天皇退位論
天皇に達した東大七教授の終戦工作

著者等紹介

立花隆[タチバナタカシ]
昭和15(1940)年長崎県生まれ。39年東京大学仏文科卒業。49年「田中角栄研究―その金脈と人脈」(「文藝春秋」11月号)で金脈批判の先鞭をつけ、以後精力的に腐敗政治批判を続けている。知的関心は幅広く、その徹底した取材と卓抜な分析力による文筆活動で、58年菊池寛賞、平成10年司馬遼太郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白河清風

14
今回は1919年に創設された東大経済学部を中心に話が進む。経済学部は大内兵衛、河合栄治郎、土方成美などを中心に、人間関係、ポスト争、イデオロギー的対立が絡み合って激しい派閥抗争が展開される。もはや、大学(学部)の自治の影もなくなり、政府や政府の意向を汲んだ大学総長によりどんどん教授が入れ替わるだけだ。その後日本は開戦し敗戦を迎えるが、天皇を戦争責任から守る理論として「明治憲法上、天皇は「無答責」の立場にあった」というのが出てくるが、何を今更天皇機関説の如き理屈を繰り出すのかと考えたの私だけではないだろう。2025/03/30

猫丸

13
力のこもった労作、第四部にて終了。敗戦と戦後復興の展望まで。戦後史はカバーしない。「なぜ皆が明白な誤謬を信じるフリをしたのか」という立花氏の問題追究は、天皇の(法的ではなく道義的な)戦争責任論に至る。「国家ニ須要ナル学術」の「蘊奥ヲ攻究」する目的として設立された大学はもともと「国家思想ノ涵養ニ留意スヘキ」宿命を負っていた。主に東大文系はその責を自覚し、国家の興隆をはかることを優先した結果、国体明徴運動の害悪、機関説排除の脱法性をじゅうぶんに理解し警告を発してはいた。しかし理性の牙城にも蒙昧は侵入する。 2021/03/09

こうきち

2
読了。 一番嫌いな奴は、蓑田と、それに乗っかった政治家や民間人連中。 それ以外は、本当に情報量が多くて、一読しただけでは、全体像を理解できない。2017/06/11

BLACK無糖好き

2
最終巻。帝国大学経済学部の派閥抗争、特に土方成美グループと河合栄治郎グループの双方のリーダーの首を切る平賀総長による大粛正に至る過程は正に前代未聞の感がある。一方で、河合栄治郎の卓越した洞察力とバイタリティ溢れる人間性には強く惹かれました。また戦後 紀元節での南原繁総長による演説「新日本文化の創造」が、どれだけ多くの人に感動を与えたかが存分に伝わってきます。最終章の「天皇に達した東大七教授の終戦工作」も大変興味深い。巻末にある膨大な量の参考文献一覧で読みたい本が更に増えて困ってしまう。(^^;;2015/04/14

rbyawa

1
j081、平賀粛学とそれに伴い失脚させられた土方氏の巻で、そのまま戦後に至る。平賀粛学を褒める必要もないが特に責める必要もないのではないか、というのが個人的な印象。確かに軍部を背景に権力を求めて爆走した土方氏を追い出す手段は自由主義者の河合博士を引き換えにしたかなり強引なものだったとは言え、理系の基礎研究の部分に多大な資金をもぎ取った辺りは気に入った。戦後の復興が東大から始まった誉れは平賀氏にあっていいだろうと思う。が、東大が日本の戦争推進に反対する能力を失ったのも彼以降とも言えるだろうし、歴史は複雑ね。2019/07/15

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