内容説明
日本の政治はなぜかくのごとき惨状を呈するにいたったか?このことが、角栄との二十年に及ぶ格闘の末、もうウンザリだと思った著者を再び角栄へと向かわせた。権力とカネ、忠誠と裏切り、男たち女たちの愛と嫉妬と憎しみの政治的人間ドラマに、あらゆる角度から肉薄した注目の一冊。政治は情念の世界、そのものなのである。
目次
田中真紀子問題に発言しなかった理由
ワイドショー化する政治の問題
TVはどこまで真実を伝えているのか
ワンバイト化する日本の政治
角栄と真紀子の共通点「批判を否定するだけで証拠は出さない」
角栄の二つの遺伝子問題
自民党がいまだひきずる角栄型政治
真紀子が引き継いだ角栄の“生物学的遺伝子”
真紀子の何が問題なのか?
角栄・真紀子親子の異常な人気ぶり〔ほか〕
著者等紹介
立花隆[タチバナタカシ]
昭和15(1940)年長崎県生れ。39年東京大学仏文科卒業。49年「田中角栄研究―その金脈と人脈」(「文芸春秋」11月号)で金脈批判の先鞭をつけ、以後精力的に腐敗政治批判を続けている。58年菊池寛賞、平成10年司馬遼太郎賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
24
田中角栄氏、田中真紀子氏、秘書らを中心に著者は金権政治の全体像を掴もうと奮闘する。現日本人的な魅力があり、求心力は高いが、お金とずぶずぶな角栄氏、反面教師のようにお金との縁は政治に関してはなく、派閥も嫌う田中真紀子氏ながら、苦労知らず、気遣いが上手くなく、人望がない上に、節税は上手くやる重なっているところと対照的なところの違いが興味深い。2017/03/01
とみやん📖
9
角栄と真紀子に関する立花氏のインタビュー。角栄研究は氏のライフワークの一つだけに、他の評論を圧した情報量。早坂秘書と佐藤昭が、角栄の脇を固めた重要人物と再認識。 このところの、劇場型政治を見ていると、真紀子騒動を思い出す。大衆煽動による急進的な政治は、必ず大きな副作用をもたらすことを、我々国民は記憶しておくべきと思った。最後にのべられている意外とも感じられる真紀子のリベラルな政治観にはかなり賛同できた。戦後利権と金にまみれ借金大国をつくり出した親玉である角栄への昨今の礼賛はバカげたものとつくづく思った。2017/10/02
hase45
2
★★★★☆ 取材の記録として多くの関係者から聞き取った膨大な情報を整理して残したことに敬意を評したい。田中角栄の汚い部分を描いているが、政治家に必要な資質とは何かを考えさせられる。2021/10/17
BLACK無糖好き
2
戦後日本の政治スタイルに多大な影響を与えた田中角栄と娘真紀子に関する著述。兎にも角にも集める金とばらまく金の額がハンパない。選挙工作で使う金も「相場の2倍3倍ではダメだ10倍渡して相手が目をむいてこそ効果がある!」。業界への補助金もこの調子の大盤振る舞いでばらまくシステムを作り上げたもんだから、国の財政もたまったもんじゃない。負の遺産でか過ぎ。親父と違って真紀子は全然スケールは小さい、てか真紀子はそれ以前の人としての資質に問題あり過ぎ。2014/12/10
ハーブ
1
これは大事な記録 この話は立花さんのライフワークというより執念が伝わる2015/02/16