感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
陽介@中四国読メの会参加中
7
なんだろう、とても血腥い印象の短編が多かったです。明治=近代という思い込みがありますが、その当時の人からすれば価値観やらが急に変えられるはずもなく、そのギャップで余計にそう感じたのかも。斬らねばならない理由が顔を潰されたから、と言うのはどう考えても近代の発想ではないよなぁ。やってることは同じなんですが、新撰組の話だと「まあ幕末だしね。」とスルーできるんですが、それが明治となっただけでとんでもないことしてるなぁ、と思ってしまいました。2014/04/10
みかん
5
剣戟シーンの描写が最高!!!!!!読んで良かった。作者の他の作品も読みたい。一番好きな話は、表題作の「明治撃剣会」かな。どの話も好きだけど。さすが剣道経験者は描写が違うな。2012/06/02
AICHAN
5
著者の実見談らしい「孤独な武者振り」が印象深かった。でくのように立つ老剣士が、掛かっていく剣士たちの竹刀を即座に絡めとり鍔ぜり合いで相手の動きを封じてしまう。身動きできない剣士たちは次々に敗退していく。本当に強い剣術家の姿を見た気がした。現代剣道の試合では選手たちはよく動き目にもとまらぬスピードで竹刀を操る。重い真剣では不可能な芸当だ。それは許せても攻撃がかなりの頻度で当たっているのに一本にならないのは許せない。真剣なら浅い打ちでも致命傷になる。現代剣道が置き忘れてきたものがこの短編集には詰まっている。2011/01/17
keiniku
4
この短編集の中の「宵闇の五人切り」を時代劇のアンソロジーで読んで津本陽を知りました。珠玉の短編集です。明治になった時代に生きる剣豪の姿を描いた作品がほとんどですが、とにかく切り合いの描写が凄まじいリアリティーと迫力です。江戸時代でないという時代設定も、生々しさに拍車をかけているのかもしれません。 新撰組がらみの話もあるので、この機会に新撰組ファンの人にも津本陽に触れて欲しいものです。 しかし、ホントに切った感触まで追体験できそうで、読み終わってからもゾッとします。2015/05/04
musa standers
4
幕末の活躍し、腕に覚えのある男たちの明治時代の話。明治になり、武士がどのような暮らしに変化していったかがわかり、興味深い。現在、警察官と自衛隊員が日本刀で切り合い、何体もの惨殺死体が見つかるなど大事件だが、明治時代には、3年の刑である。また自分が恥をかかされ、それを黙っているのは武士の恥と相手を切りに行く男たちがまだ残っていたのかと驚くが、江戸が終わり数年ならそういうことか。相手を馬鹿にするのも命がけである。2013/03/20