出版社内容情報
明治初年、和歌山へやって来た撃剣興行一座の一番の遣い手に挑まれた旧幕臣のあざやかな腕の冴えを描く表題作など八篇。剣豪小説に新境地をひらいた意欲作品集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
連雀
2
購入したのはもう20年以上の昔。剣豪小説と言うものに興味があってお試しに読んでみたのですが、ちょっと肌が合わないな…と思ってそれきりになっていました。そして、今になって気紛れで読み返したところ、実に面白い!派手さは無いものの、人を斬ると言う当たり前の人の世から大きく逸脱した世界に生きる男たちの心情が痛いほどに伝わってきました。もっと津本陽の作品を読みたくなりました。2021/12/29
japricot
2
著者作品を初めて読んだ。短編集。それぞれに竹刀稽古や実戦の様子がこと細かく描写され、迷いなく竹刀を交えてて、おもしろく読みすすめた。撃剣興行については言葉では見知っていたつもりだったが、たしかに普段見慣れない剣術試合を見るのは興味深いだろうなと感じた。明治初期、120年前か。遠いなぁ2016/11/22
Kunio Hanaoka
1
時代小説、特に剣豪小説は文句なしにおもしろい。津本陽は『柳生兵庫介』が白眉だと思うが、短編にも名編が多い。こちらは時代は明治。かつての剣士が明治という時代に、自分の修業結果をどう出したか、が描かれている。団円で終わらない作品もあり、それが妙に現実的だ。難しい本に疲れたらこういうものを読もう。2014/02/08