出版社内容情報
脂濃い料理を好み、歯を磨かず入浴せず、純朴な娘とベッドを共にし、権力への妄執に悩まされる。主治医が綴った"赤い皇帝"の素顔
内容説明
「もし私が殺されてもこの本は生きつづける」の言語を残し、著者は本書が発売された3カ月後、シカゴの自宅浴室で遺体となって発見された。また北京政府は「事実無根の書」として、事実上発禁扱いにした。が、地下では密かに熱心に読まれている、と言われている。現代中国史はこの本の刊行で、見直されなければならないだろう。
目次
第1部 毛沢東の死(ふたりの毛沢東)
第2部 一九四九―五七年(赤い理想に燃えて;“労働大学”の怪;主治医事件の暗闘 ほか)
第3部 一九五七―六五年(「百花斉放・百家争鳴」の罠;反転攻勢の術;毒見役 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
25
著者は長い間(22年間)毛沢東の主治医であり、プライベートを見てきた。共産主義の国になりすべての私有財産は没収。無法無天ー自分こそ神であり法律である毛沢東はのたまわり、周りに注告するものは誰もおらず。裸の王様であり革命家としては一流かもしれないが、指導者としては二流であった毛沢東。少なくとも現在、中国指導者は5年の任期を2回までとのルールがあり、独裁に歯止めがかかっている。歳を取っても凄い性力。権力を利用し多数の若き女性をはべらせている。下巻へ。2016/07/24
Willie the Wildcat
24
”本能”で生き抜く。文字通りの”密室”政治。登場人物1人1人の疑心暗鬼は、人間の陰の本質でもある。主治医の観点では、毛主席の生活習慣。精神的重圧と、生まれ育った環境。前者は睡眠、後者は歯・入浴。主席の「”論理的な”矛盾」も興味深い。米ソvs.毛主席のIdeologyの立ち位置や、迷信vs.西欧の先端医療技術など。著者の故国そして主席への想い。現実は、政治との距離感を保つ著者の姿勢に表れている気がする。2014/07/03
活字の旅遊人
11
冒頭の遺体処理は、なんだか驚愕。この先生、大変だったなあ。。。
フンフン
9
先日読んだ張承志の『中国と日本』でムチャクチャ罵倒されていたので読んでみた。すごい! 毛沢東の私生活が乱れ切っていたことは『マオ』でも描かれていたけど、これは実際にその場にいた医師による暴露で、はるかに詳細に描かれている。『マオ』は2005年の発行で、1994年発行の本書の方が先なのだが、私は今回初めて読んだ。歴代中国皇帝そのままの宮中生活。スターリンはロシア史上最悪の暴君とされるイワン雷帝を尊敬していたそうだけど、毛沢東が讃嘆してやまなかったのは「酒池肉林」の殷の紂王や「焚書坑儒」の始皇帝だった。2024/02/03
z1000r
7
毛沢東の主治医から見た毛沢東。人の話は聞くが、強引な理屈で決して自分の考えを曲げず、自分の哲学をふりまわし、非科学的な人だと思った。下巻ではこの傾向がさらに酷くなる気がする。2019/07/30