出版社内容情報
湖畔の町にやってきた元新聞記者ハウエルが、消息を断った家族の謎を追う。暗い現実と湖底の幻影が交錯するゴシック・サスペンス
内容説明
新聞社を辞め、作家修業中のハウエルは湖畔の町にやってきた。彼はそこで、ダム建設の際最後まで立ち退き要求に応じず、消息を断った家族がいたことを知る。彼らはどこへ消えたのか?そして、湖底にたゆたう影の謎は?非協力的な住民たちをまえにハウエルの疑念は深まっていく。現実と幻影が錯綜するゴシック・サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白のヒメ
45
もと新聞記者が、本を執筆するために訪れた湖畔の別荘。その湖は小さな谷の村を沈めたダムだった。見えるはずのない明かりのついた湖の底の家、部屋の中に見える少女の幻、勝手に鳴りつづけるピアノの音は一体何なのか。稀代のミステリー作家が手掛けたゴーストストーリーのせいか、物語はオカルトチックというよりは、やはりミステリーの展開で進んでいく。最後の最後で、読み手に「まさかそんな展開とはー」と唖然と呟かせる伏線の収拾の手腕は見事。処女作でアメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞を取ったという「警察署長」も読んでみたい。2015/01/23
あたびー
44
鳴かず飛ばずの小説家ハウエルは、事業家の自伝を代筆するために湖畔にある義兄の別荘に滞在する。そこで保安官の秘書として潜入する旧知の記者スコッティと再会し彼女と関係する。彼女の目的は保安官の犯罪を暴いて記者として復帰することだった。ダムの湖底に沈んだ町、そしてそこに沈んでいると思われる一家に纏わる怪異が複雑に絡み合う。ラストは人間関係のグチャグチャで何度も頁を行きつ戻りつさせた。結構疲れた。2023/06/03
bapaksejahtera
10
著者の作品を読むのは2作目。その「警察署長」は南部ジョージア州での社会派ミステリーであったが、本作は舞台こそ同じ「因習に囚われた」南部だが、全く別物の怪奇サスペンスとなった。エミー賞も取ったある記者が、人生の立て直しを求めて立志伝人物ゴーストライターの仕事を得て湖畔の別荘を訪れる。そこは町を作り上げたボスが警察を含めて支配する似たような設定。彼を待ち受けて様々な怪奇事件が起こり、最終的には大活劇となる。エピローグのように物語られる事情説明は全く真景累ケ淵張りの巡る因果の風車。テンポは良いが後味は悪かった。2021/03/20
ダークスター
10
久々のスチュアート・ウッズ作品。『警察署長』も好きでしたが、この『湖底の家』も読みやすく、かなり好みの作品でした。2018/08/23
knm296
3
★★★★★ ただもんじゃないですよ。このころのウッズは。