出版社内容情報
ヒトラーなき世界ではナチも第二次大戦も存在しない。が、ある日ヒロインは別の歴史の存在に気づいた。架空の世界から現実世界の犯罪を探る奇想ミステリーロマン
内容説明
父の遺品のなかでひときわ目をひいたタイム・ライフ版『第二次世界大戦史』。架空の出来事とは思えぬ詳細・迫真のドキュメントに、誰も知らぬ“第二次世界大戦”とやらの探索にかかったところから不思議なミステリーの旅が始まる。ナチもヒットラーも存在しなかった世界からもうひとつの世界の犯罪をさぐる奇想ミステリー・ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
35
世界を救ったエリアンダーのお蔭で歴史が改変されたのだが残された大戦記が再び帝国を蘇らせることになるのか孫娘レスリーの現在とエリアンダーの過去、つなぐ人々の人間模様が交錯するように展開する。ミステリー?SF?ジャンル無用のロマンに満ちた物語でありました。一人で背負ったエリアンダー・モーニングが愛おしくもあり哀しくもありラストの老人の告解はただただ気品に満ちた彼女の姿に熱くなるのでした。2025/04/13
akiakki
8
歴史改変ミステリー。登場人物が多いうえに2つの時間軸がザッピングしつつ過去回想までするから大分混乱した。第二次大戦がなかった、もしくは違う結果に終わった話は読んだことがあったが、第二次大戦があった世界をifとして物語の人物が語る展開は新鮮だった。2023/06/27
亮人
6
1913年、祖母エリアンダー・モーニングはウィーンでとあるしがない美大落ちの浪人生(チョビヒゲ)を射殺する。このチョビヒゲは誰なのか?一方、1983年の現代。孫レスリー・モーニングは、父の遺品の中から報道写真集『第二次世界大戦史』を発見。しかしこの世界では、第二次大戦など起こっていない。だが写真の中では、ホロコーストやノルマンディー上陸作戦など凄惨な場面が現実のように写っている。果たして祖母エリアンダーはなぜ殺人を犯し、それが孫レスリーのこの現実にどう繋がってくるのか?これは面白い!最高の歴史改変SF!→2021/03/11
omocih7
6
『第二次世界大戦史』という謎の書。第二次世界大戦が起こらなかったパラレルワールドでの物語なのですが、とても読み応えのある歴史ミステリーでした。Amazonレビューが0というのが信じられません。唯一この作品でケチをつけるなら邦題でしょうか。もっと世間に知られても良い小説だと思います。
うれしの
4
長らく積読していたら、いつのまにか書店からは消えてしまってますが、読んでみると、妙に心に残る時間SFの秀作ではないですか。同じ文春文庫のクーンツ「ライトニング」と同じように、余計な絵のない真っ白な表紙で、タイトルも原題どおり「エリアンダー・モーニング」にして復刊したら、そこそこ売れると思うけどなあ。2018/07/14