出版社内容情報
スカーレット女優として、名優オリヴィエの夫人として栄光に包まれながら、その重圧と女優のエゴで燃えつきた生涯、そしてその奇妙な愛のかたちを綴った傑作伝記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
76
1985年5月に文春文庫での刊行。著者はマーガレット・ミッチェル、マリア・カラスの評伝、『風とともに去りぬ』の遺族非公認の続編も書いた人物。この月の文春文庫の新刊10冊のうち、なんと7冊が映画関連のもの。筒井康隆『美藝公』、植草圭之助『わが青春の黒沢明』、高橋治『絢爛たる影絵 小津安二郎伝』、淀川長治『私の映画の部屋』、和田誠+山田宏一『たかが映画じゃないか』、そしてエドワーズ『ヴィヴィアン・リー』、タイクマン『ヘンリー・フォンダ』の翻訳と、凄いラインアップだった。2025/03/07
Willie the Wildcat
25
舞台俳優としての理想を追い求め、オリヴィエ氏に認められたい。同時に、人生のパートナーとしての愛情・・・。妥協せず、自分に素直に生きる。病故に周囲が支える姿勢が、(様々な賞を超えた)氏の魅力を物語る。一方、俳優としての自己評価が全て故の苦しみ、加えてカトリック教徒としての愛情への苦悩が切ない。ホルマン氏の包容力が印象的。自身の望んだ役を演じるMonroe氏との遭遇が、どこか人生の悪戯のような気がしてならない。圧倒的な存在感、唯一無二、永遠のスカーレットだよなぁ!2015/04/22
kaoru
17
才能溢れる稀代の美女への優れたオマージュ。インドでの出生、世界的な名声を獲得したスカーレット役との出会い、二度の結婚生活、躁鬱病との戦いと死が敬意ある筆致で綴られる。映画女優としてより舞台人としての栄光を望んだ彼女だが、これはオリヴィエへの執着故だろう。本書には書かれていないが彼女が『欲望という名の電車』に出演を熱望したのは、実はオリヴィエが両性愛者であったからではないかと思う。オリヴィエとの離婚後も彼女は果敢に生き、支えてくれる誠実な男性もいたが、オリヴィエとの別れが彼女の寿命を縮めたと思えてならない。2019/01/12
光雲
3
なかなか読み応えがあった。元旦那のリーに対しても「愛する〜」など表現を用いて手紙を出したり、頻繁に行き来してたり、ジャックと再婚してもオリヴィエの写真を枕元に飾っている、、、欧米人(とひとまとめにしていいかですが)の価値観が分からんところも。ただ美しい人という認識しかなかったヴィヴィアン•リーの印象が変わりました。ショートスリーパーというか不眠症、潔癖で読書家、特にニンフォマニア、躁鬱病のくだりは周りも大変そうすぎる、それでも周りに愛されて尊敬されていたなんて素はどれほど魅力的な人やったんやろう。2022/08/27
ゆずこまめ
3
風と共に去りぬがいまだに再映画化されないのはオリジナルが強烈すぎるからだろうか。もしそうならスカーレットを鮮烈に演じたヴィヴィアンの功績は大きい。 彼女の人生もまた鮮烈なもので、光と闇のコントラストが相当ビビッド。 常に全力で生きた人という印象だった。2019/09/14