出版社内容情報
日本人が「宗教=規範」の世界から理解されないのはどうしてか?日本人の原理と説得力の問題について「あたりまえ」という観点から考察したベストセラーの文庫化
内容説明
日本人は無宗教でも無規範でもない。むしろ世界でも最も厳しい個人的規範をもつがゆえに、最も秩序立った犯罪の少ない社会を形成している。だがこれが、宗教=規範の世界には理解されず、しばしば誤解を招く。相手にどのように説明し、納得させたらよいか。国際社会における「説得力」の問題など、日本人を考察する。
目次
1 指導者の条件(日本人と「自分の原理」;説得力について;日本的指導者の顔;「無羊文化」国ニッポン;枝葉末節の対決;話合いの恐怖;われわれの自由;サタンの誘惑;無駄な十年)
2 世論というものは(大新聞の妙な論説;身勝手な片思い;グレる現象;診断の基準;小説の効用)
3 国境を出れば(あるスパイの忠誠心;中東を認識するために;集団自殺と伝統;私観―Sogo‐Shosha)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1_k
4
30年ほど前の本。扱っている話題はその当時のものだが、やっぱり日本人、全く変わりませんな。というか、戦前、いや江戸時代やそれ以前から変わっていないのだから仕方が無いが。山本七平はほんっとうに日本人のことが良く(理性的に)解っている。最近の原発問題への情緒的な反応やら、省電力への不合理な態度など、七平翁が生きていたらどんなコメントをするだろうと考えるだけでも一時間二時間平気で過ぎていく。この人ほど、理性的な日本人は後にも先にもいないのではなかろうか。2011/07/17
ゆうじぃ
2
ずいぶん前に読んだ本ですが、未だに理解できない部分があります。自分の歴史についての無知なところも影響していると思います。ただし、わかりやすいところ、理解できるところは、本当によくわかるのです。中東情勢は今読んでも大変勉強になります。2014/07/10
Yuya Ueda
1
無宗教な日本人の「こころのうしろ側」に関するその歴史的背景を基礎とした考察が興味深い。 相手の論理(時として「あたりまえ」)と自分の論理を分けて考えるのは現実的には難しく、訓練が必要と感じた。2017/08/16
Hayek
0
★★★☆☆2014/02/01
さばとら
0
空気の研究以来、久しぶりに山本七平氏を読みました。とはいっても30年前の著作ですが。あたりまえって、やっぱり場を構成しているメンバーの知識水準なので、構成員が、仲間うち、企業、国家など、どの規模になっても考え方は同じ。逆に、あたりまえの打破は、異分子しか出来ないか。2013/08/12