出版社内容情報
世嗣断絶、幕法違反、乱心など狙ったら必ず理由は見つけ出す。大名統制策として廃絶された大名家は二四0。そのなかの十二の悲史
内容説明
武家にとって御家断絶以上の悲劇はあるだろうか。慶長5年の関ヶ原役以後、徳川幕府によって除封削封された大名家の数は240。理由は世嗣断絶、幕法違反、乱心などさまざまだが、幕府は狙ったら必ず何かを見つけ出した。本書は廃絶の憂目にあった大名家の中から福島正則、本多正純、松平忠直、堀田正信など12の悲史を描く名著。
目次
徳川幕府の大名廃絶策
里見安房守忠義
松平上総介忠輝
福島左衛門大夫正則
最上源五郎義俊
本多上野介正純
松平三河守忠直
加藤肥後守忠広
駿河大納言忠長
生駒壱岐守高俊
加藤式部少輔明成
堀田上野介正信
松平中将光長
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪の行者山@加療リハビリ中
8
徳川幕府が、数々の藩を取り潰していった記録から読み取れることをレポート。「徳川幕府の大名廃絶策」はちょっと固いまじめなレポートかな、と思ったけれど、個々の案件に入るとかなり面白い。「賤ヶ岳の七本槍」たちの家がつぶされていくレポートとか、かの「駿河大納言忠長」の没落の過程。その他生々しい話がいっぱい。時代劇ファン、歴史好きにはおすすめかも。ただ、戦国好きには戦国武将やその末裔が苦しめられつぶされていく様子ばかりなので(???)かも。それぞれの話が、時代劇「松平長七郎」に繋がったり、大河ドラマに繋がったり⇒2016/10/08
dzuka
2
戦国時代に活躍したあの武将は、江戸時代にどうなったかという疑問をずっと持ち続けたいたが、そこにフォーカスを当てたなかなかマニアックな一冊。 この本にでてくる13大名の廃絶記録もなかなか興味ぶかいが、巻末の一覧に江戸時代に廃絶や減封があった大名が、はよくまとめられており、見ごたえ十分。ものすごく沢山の大名が、譜代、外様に関係なく、廃絶の憂き目にあっている。これをみていると長州藩とか薩摩藩が廃絶させられなかったが、謎。すでに力関係が逆転したのか? それにしても、大名経営がいかに難しいかがよくわかる一冊だった。2018/10/24
はばたくキツネ
2
江戸時代、幕府によって取り潰しや減封に遭った大名家について書かれた研究本。風説・俗説入り交じった数々の資料を冷静に検証しているので、かなり真実味のある内容。やはりこれだけの優れた支配制度を作り上げた幕府初期の老中たちの有能さを思い知らされる。江戸時代は概ね太平の時代ではあったが、イエとクニを守る大名たちには別の形の”戦国”であったと言えるのかもしれない。2011/05/04
メカメカ
0
徳川幕府ができてから明治維新までの間に取り潰された大名の実例を個々に紹介した本。歴史好きならそこそこ有名な話も含まれますが、表面的な理由と幕府の本音をそれぞれ言及しており、徳川幕府の大名統御政策がよく分かります。大名もそれなりの緊張感があったのだろうと想像しました。 あまりこういう視点で書かれることも少ないし、歴史が好きなら読んで損なしと思います。2016/10/22
えびえび
0
徳川幕府に改易された武将を、その背景や人物を取り上げる作品。外様も一門衆も分けることなくざっくりと解説しています。廃絶の理由がイマイチはっきりしないところや人となりを小説仕立てで読めるのが良いと思います。2013/03/28