出版社内容情報
ホームで見かけた女ばかりが謝る夫婦らしき男女。帰りの列車で乗合わせると今度は男ばかりが……。男女の機微を鮮やかに描く十二篇
内容説明
ホームで見かけた夫婦らしい男女は、なぜか女ばかりが謝っている。帰りの列車で乗り合わせると今度は男ばかりが…(「勝子」)。病床の妻に頼まれて占いの本を探す夫。妻の妹に尋ねると、何やらいわくつきの本だという(「幸恵」)。さりげない日常の中から、男女の機微や人生の手触りを鮮やかに掬いあげた好短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
104
毎日暮らしていれば、嫌なことも嬉しいこともやってくる。そんな人生において、身近な女と男たちの日々の機微を綴った物語はおもしろいです。とりわけ、女たち(奥様だけではありません)に翻弄される男どもが愉快です。さすが阿刀田さん各々の結びは、きっちりサビの利いたオチで落としてくれます。名言の中から二つ。◆人生には運と不運があって、それが面白みになっている。◆不倫の恋は、恋愛の極致だが、王道ではない。…時折、読みたくなる阿刀田高の風刺のきいた短篇小説。2018/10/17
takaC
49
先日読んだ『妖しい関係』からの結びつきでこれを思い出して読んだ。結構上手いと思う。12編のタイトルだけ列挙すると中島みゆきの歌みたいになっちゃうな。→「勝子」/「寛美」/「貴代」/「明日香」/「花恵」/「映子」/「十詩子」/「直子」/「夫佐子」/「笛子」/「玉枝」/「幸恵」2014/10/03
KAZOO
41
12人の女性の名前が題名になった短編集です。阿刀田さんの男女のからみの話としては不倫もなくエロティックな場面もなく今の私にとっては読みやすいものでした。最近はこれくらいの話や宮城谷さんの先日読んだ「玉人」くらいがいいと感じる年齢になりました。2015/03/17
takaC
20
1996年6月読了。勝子、寛美、貴代、明日香、花恵、映子、十詩子、直子、夫佐子、笛子、玉枝、幸恵1996/06/15
カーミン
7
普通の男女が織りなす12話の短編集。男性目線で書かれているにも関わらず性的描写が少ないため、心地よく読むことができた。「賢者の贈り物」を彷彿させる「夫佐子」が良かったな。2014/03/08