出版社内容情報
森繁久彌・向田邦子コンビのラジオエッセイ第二弾。自らの父親をだぶらせた重役の言葉や心の動きには懐かしい温かさがあふれている
内容説明
作・向田邦子、朗読・森繁久弥の名コンビによるラジオエッセイ文庫化第二弾。明治生まれとおぼしき重役の家庭や会社、食物、癖、習慣などに関するエピソードが軽妙な筆致で描かれている。一篇一篇は短いが、その中には懐しい時代の温かさが満ちあふれ、随所に滋味掬すべき人生の機微がちりばめられている。
目次
かきもち
縁日
奥さまご病気
便箋一枚
ポケットとハンドバッグ
空の鳥籠
話半分腹八分
うちのミステリー
かみさんスキーヤー
びっくりおもちゃ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
柏もち
5
とくに前半の重役さん(浮気してる)と妻のやりとりが面白い。「ウトウト」と「アタシよ」が良かった。2016/03/12
ツキノ
5
昭和三十七年スタートのラジオ番組の台本。森繁さんがひとりで演じる重役さんのちょっととぼけた味わいがとてもいい。これからテレビドラマの脚本、そして小説の世界へと移行していく向田邦子さんのデビュー作。エッセンスがぎゅっと詰まっている印象を受ける。2012/06/08
刺繍好きの糸ちゃん
2
すまん、、一番おもしろかったのは、邦子さんによる「前書き」だった。あとの「中身」は、、ラジオの台本だったということで、散文としては今一つノリ切れず、、しかしやはり、この高度経済成長時代(の多分前半)の雰囲気を味わうにはやはり、邦子さんの短文、、と思う。重役の奥さんは、重役さんの靴を磨いて当たり前で、住み込みのお手伝いさんがいる時代(男女区別今よりも大きい、大きい)、、子供もたくさん生まれたんだよね。そりゃあ今の方が生きやすいとは思うんだけどね、、、2024/12/07
T. Tokunaga
2
日本の娯楽コンテンツの原型が出来上がった時代のものを、休憩がてら読んでみたが、下ネタオチを平然と書いていたりするのに驚かされる。とはいいつつ、この原型は、この本の中の「手のひらの味」によると、太宰治の『斜陽』あたりにあるらしい。苦味が足りない気がするのは、そのせいだろうか。2023/08/10
桜もち 太郎
2
森繁久弥朗読のラジオエッセイの台本。向田邦子の本格デビュー作品。やはり引き出しの多い作家です。中でも人を見る目の鋭さはすごい。敬遠される男「正論であっても理屈をこねる男」「融通がきかず何事も適当にやることができない男」と手厳しい。しかし「大きい薬缶は沸きが遅い」、今すぐ役にたたない大きい薬缶。いびつにすることなく大きく育て上げる、ってすごい器だなぁ。2016/12/15
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