出版社内容情報
風光明媚なリゾート・ホテルの冬場の管理人にやとわれた夫妻と五歳の坊や。雪に閉ざされた、人気ないホテルの空室にひそむ悪霊がじわりじわりと忍び寄って牙をむく
内容説明
《景観荘》ホテルはコロラド山中にあり、世界で最も美しいたたずまいをもつリゾート・ホテルのひとつだが、冬季には零下25度の酷寒と積雪に閉ざされ、外界から完全に隔離される。そのホテルに一冬の管理人として住みこんだ、作家とその妻と5歳の少年。が、そこには、ひそかに爪をとぐ何かがいて、そのときを待ち受けるのだ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
179
読んだのは高校生の時で、今から20年以上も前ですが、やはり読んだ時のインパクトは今もなお、褪せるコトなく鮮明に憶えています。当時、吉本ばななさんを読んでいた時期で、吉本ばななさんが好きで影響を受けた作家さんということで名前をあげておりました。何気にとった今作は、とんでもない作品でそれまでホラーというジャンルが未知の世界だったので、完璧に打ちのめされました。文章が人間の心理、そして精神をこんなにも追い詰めていくコトができるんだと驚愕し、文字通り恐怖に陥りました。読みやすいかというと微妙ですが、衝撃大です。
NAO
60
なかなか話が進まない。ジャックの過去の行状や彼の鬱屈した思いと、息子ダニーの他の人とはちょっと違うところが、長々と描かれていく。だが、そうやって長々とジャックの屈折した人生と思いを描くことで、雰囲気は暗く重く澱んだものとなり、ホテルに行く前からじわじわと不穏さ邪悪さがにじみ出し、ぴりぴりするような緊張感に包まれる。ところが、ホテルに着いてからも、予想外の平穏な日々。上巻最後の辺りでついに異変が起き始める。この長い長い前ふりは、ジェットコースターの登りか。下巻では、一気に突き落とされるのか。 2016/10/27
カザリ
58
故あって再読(というときは次作の小説のためにという場合がほとんどです)よく合考えたら、中学生のときから再読しすぎだろう、とつっこみたくなるくらい赤焼けした本になりました。。表紙がぼろぼろで、気が付けば、ジャックと同い年ぐらいになっちゃうんじゃないかな。キングがこれ書いたときと同じぐらいの年になっちゃうんじゃないかな、とかふと思いつつ構成の勉強に(笑)2014/10/09
ロア
52
冬季は雪に閉ざされてしまうコロラド州山中の高級リゾートホテルに管理人として春になるまで引き込もれるなんて、冬が好きな私にとって非常に羨ましいシチュエーション!しかも、ハローランのキッチンの素晴らしさったら!備蓄食料の種類とその量にも圧倒されるね。美味しい料理作りたい放題食べ放題!こんな環境でゆったりと過ごしながらお給料も貰えるなんて夢みたい!と、膨らむ妄想(笑)あ。本作は幽霊屋敷の体裁をとってはいるけど、その根底にあるのは父と息子の愛情物語。何がいいって母親じゃなくて父親ってところだぜ!(`ω´)2015/03/29
harass
50
十数年ぶりの再読。『霧』を読んだ余波で手に取る。不安恐怖を文章にするのが得意なこの作家の代表作。冬山のホテルを住み込みで管理する夫婦と息子、息子には『能力(輝き)』があり、夫婦にはぎくしゃくとした過去があった。そしてホテルには血塗られた歴史が…… キャラの人物造形などまさに一級品。伏線や不穏なエピソードがきっちりと敷き詰められ、とんでもないことが起こる予感に満ち溢れていて、一気に読み続けてしまう。天性の語り部だということが分かる。やなんという上巻のラストだ。これは下巻に手を伸ばさざろう得ないではないか!2015/08/18