出版社内容情報
初期のテレビで異彩を放った懐しの人気番組「ミステリー・ゾーン」はスピルバーグの「トワイライトゾーン」を生む母胎となった。その原作、奇妙なアジの傑作短篇集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
27
懐かしい香りのするちょっと不思議でSFでファンタジイな短編集。もともとはTVドラマの為の物というのも納得のスマートとひねりのある内容で、面白く読みました。「大いなる願い」は、あのラストを現実に生きろと励ますものか、奇跡を信じなかった男を嗤うものか、読む人によって解釈が分かれると思うんだよな……。2022/08/03
Yu。
20
何気ない日常生活のなかから突如として湧き上がるダークスポット。。ソレに触れた者達に待つ先に笑顔は訪れない9つの奇妙な物語。お気に入りは、超倹約家の男に囁く悪魔の声が彼の守ってきた信条を無残にも打ち砕いていく様がリアルで恐ろしい「熱狂」。昨日の友は今日の敵、突如人々から生活ツールを奪っただけで瞬時にして狂気世界が成り立つ「メープル通りの怪」。競争社会に嫌気が差した主人公が辿り着く先は…。倒錯型でありながら幸福型とも取れる本作はラストを締め括るに相応しい「ウィラビーに停車」。2016/09/11
KANEO
17
伝説の海外TVドラマ『トワイライトゾーン』のノベライズ版でロッド・サーリングの作品を9篇収録した精選集。本書は日本放映時の邦題『ミステリーゾーン』を表題にしている。初読作品としては『大いなる願い』『ウィラビーに停車』の2篇が特に印象的だった。両作ともに人生に虚しさを感じ、世知辛い現実に疲れた大人のための寓話。同時収録の『歩いて行ける距離』も含め、大人になって行く途中で置いてきてしまったものを思い起こさせてくれる作品たちだった。ボクも夏の午後と氷売りの馬車を見れば、てもなく感動するような人間でいたい。2014/11/03
林 一歩
17
何作かはドラマ版を拝見した事がありましたが、当然の事ながらドラマの方が数段面白い。2013/04/26
けいちゃっぷ
13
テレビシリーズの『ミステリーゾーン』で一世を風靡した(らしい)作者。 その中のいくつかは見たことがあるかもしれない。 ここに収められた短編はどれも通俗的でノスタルジック的だが、幅広く書き分けられているので飽きさせない。 中でも「熱狂」は、博打を軽蔑している男がふとしたきっかけで狂ったようにスロットマシーンにのめりこむ有様が鬼気迫る迫力。 他の作も深みはないが読者を楽しませるために書かれたような雰囲気があって心地よい。 2作ほど宇宙人が出てくるのがご愛嬌だが。 347ページ 2015/03/20