内容説明
“私の事を、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれない”…森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は?錯綜する人間の欲望と、息もつかせぬストーリー展開で、日本ミステリ史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長篇。
著者等紹介
赤川次郎[アカガワジロウ]
昭和23(1948)年2月29日福岡生まれ。桐朋高等学校卒業。51年「幽霊列車」で第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞、以来ベストセラー作家として活躍。「幽霊シリーズ」の他に、三毛猫ホームズ、三姉妹探偵団など、数々の人気シリーズがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
564
いかにも古き良きといった銘品。淡泊な文体と、ゲーム感覚で進行する殺人が相まって、ちょっと出来過ぎな着地も、上手く世界観の中に収まった印象。『三毛猫ホームズの推理』もそうだが、初期の赤川次郎は、登場人物にとって悲惨な結末が用意されていることがあり、この作品にもラスト独特の哀しさがある。それとは逆に、無駄に存在感を発揮しておきながら、実は特に意味のなかった、濡れ場要員の昌江と島崎が笑えた。こういう良作を読むと、『十角館~』以前の作品を掘り下げたい気持ちになる。2019/02/04
🐾Yoko Omoto🐾
129
再読だが内容は覚えておらず。冒頭の陰惨な事件から意味深に謎を提示していく展開はスリリングで、メインの舞台が異なる4つの章立ての構成も巧い。サクサク読めるリーダビリティの良さはさすが。お約束的な「美奈子」のキャラも好印象。ただあまり「本格もの」を期待する視点では読まず、サスペンス+サプライズエンディングと思って読む方が楽しめるかも。個人的にはミッシングリンクの強引さや予定調和な真犯人をはじめ、色々と説得力に欠ける点が多いという印象。面白かったのだが絶賛されているほどには評価できず予備知識無しで読みたかった。2014/04/17
yu
111
Kindleにて読了。 『マリオネットの罠』とはそういうことかぁ。 雅子が一番かわいそうな展開だった。修一は結婚式で雅子に刺されていればよかったのに・・・。 美奈子のその後が気になる。強い人だから、きっと立ち直るんだろうね。それにしても、紀子の組織の人間が、思った以上にバカすぎてびっくり。あんなにバカばっかりだったら、もう少し早めに真相が明らかになってもよかったのでは、なんて思ってみたりして。2017/05/27
ゴンゾウ@新潮部
110
どなたかのレビューでどんでん返しの傑作と紹介されていた。確かに終章で見事に解決されるのだが強引すぎないかと 正直思いました。それよりマリオネットの罠というタイトルが秀逸だと思います。全体としてはとても読みやすい作品でした。2017/10/10
セウテス
90
新装版にて〔再読〕。こんな赤川作品も在るのかと、思う読者は多いと思う。読み口は軽く、幾つかに分かれて始まる物語の構成も非常に魅力があり、ユーモアは全く無しのサスペンス。修一はフランス留学帰りの研究生、アルバイトにフランス語を教えるべく、姉妹の住む森の館を訪れる。やがて地下に幽閉されている末娘雅子を見つけた修一は、彼女を解放する。しかし彼女は、シリアルキラーであった。長女の紀子、修一を残して全員が殺害され、彼女は東京に出て殺人を繰り返す。何故なのか、マリオネットの意味が解る時、衝撃の結末にやるせなさが残る。2018/03/10
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