出版社内容情報
秦の始皇帝の死後、勃興してきた楚の項羽と漢の劉邦。覇を競う彼らに仕え、乱世で活躍した様々な異才・俊才十人の知られざる肖像。
内容説明
秦の始皇帝の死後に勃興してきた楚の項羽と漢の劉邦。楚漢戦争という激動の内乱時代、霸を競う二人に仕え、戦う異才・俊才たちが、天下の流れを見極め己を賭ける。「劉邦は必ず害となります」項羽の軍師として、劉邦を殺すことを進言し続けた范増。劉邦の子のもと前漢の右丞相となった周勃ほか、名臣十人たちの知られざる姿。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後帰郷、ながい空白ののち「王家の風日」を完成。平成3年、「天空の舟」で新田次郎文学賞、「夏姫春秋」で直木賞、「重耳」で平成5年度芸術選奨文部大臣賞、「子産」で平成13年の吉川英治文学賞を受賞。平成18年に紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pdango
54
★★★☆☆司馬『項羽と劉邦』の合間の寄り道。張良、范増、陣余、章邯、蕭何、田横、夏候嬰、曹参、陣平、周勃の列伝。『項羽と劉邦』の世界が広がる。2018/04/22
楽
40
10年単行本、22年電子。宮城谷先生の考証が冴える。さて楚漢戦争といっても、項羽と劉邦だけでなく、周辺にも多くの人物がいる。ただ、秦の統一戦争から始皇帝の死、陳勝・呉広の乱まで二十年余あるが、人のつながりとしてはほとんど断絶しているように思われる(王翦や項燕の子孫など例外はあるが)■張良∶若い頃は博浪沙で始皇帝暗殺未遂事件を起こすやんちゃをするが韓の復興が成らないと仙人のようになってしまう■本書で繰り返されるのが秦の章邯の強さ。囚人を率いて反秦の軍勢を倒す。無敗の章邯を破ったのが項梁(項羽の叔父)と范増2023/09/27
みや
39
中国・楚漢戦争で活躍した名臣たちの短編10作収録。司馬遼太郎「項羽と劉邦」の印象や知識しか無い状態で読んだ。恐らくほぼ同じ資料を参照しており、両者のイメージに大きな差異がなかったのは初心者として助かる。一人ずつの生涯を1章にしているため、歴史全体の流れを知らないと各エピソードは上手く繋がらないと思う。一つの歴史を様々な視点から見ることで、面白さの幅を広げてくれた。特に秦軍の章邯視点で見る項羽の神懸かり的な苛烈さは恐ろしい。改めて項羽の凄さを感じられた。張良が和議を反故して進軍する場面は、何度読んでも好き。2017/02/03
アイゼナハ@灯れ松明の火
35
項羽と劉邦の時代を生きた名臣たちの列伝。後代の乱世の名臣たちの原型が並ぶかのようですね。韓信の名前が見えないのは、王になってしまったからなのかしら。劉邦の陣営からの紹介が多くなるのは必至ですが、それ以外から范増は当然として、陳余・章邯・田横を選んでくるあたり、相変わらずシブいです。中華の皇帝の中でも最もだらしないイメージのある劉邦ですが、こうした錚々たる幕僚たちの使い方(使われ方!?)や、蕭何の功を首功とした大局感などを思うにつけ、改めて、その器の大きさの不思議を考えさせられます。2013/01/20
terve
34
楚、漢(あとちょっとだけ秦)で活躍した将十人の評伝です。まさか物語になっていたとは…。説明文だけのものよりも読みやすく、横断的に見れるのでオススメです。個人的に范増が取り上げられたのがうれしいですね。司馬遼太郎の『項羽と劉邦』では悲惨なイメージしかなかったので。宮城谷先生のご本は初めてでしたが、他も読んでみたくなりました。2020/01/13
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