出版社内容情報
腐敗した後漢王朝で専横を尽した董卓が殺され、黄巾の乱も鎮圧されたが、袁術ら奸臣は後を絶たない。曹操も汚辱に沈む父と決別する。
内容説明
霊帝が崩御すると、宮中で宦官の大殺戮が起きた。この混乱に乗じて力を得た董卓は独裁者となり、皇帝を長安へ移し、洛陽の都を焼き払う。各地の叛乱は中央を離れた独自の勢力となりつつあったが、強大な董卓軍に最初に戦いを挑んだ曹操は惨敗し、次に戦った孫堅が大勝した。劉備は北方の公孫〓(さん)の元で、黄巾軍に初めて快勝する。文庫版オリジナル書き下ろし『後漢と三国の仏教事情』(一)―秦の始皇帝と兵馬俑など。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後帰郷、ながい空白ののち「王家の風日」を完成。平成3年、「天空の舟」で新田次郎文学賞、「夏姫春秋」で直木賞、「重耳」で平成5年度芸術選奨文部大臣賞、「子産」で平成13年の吉川英治文学賞を受賞。平成18年に紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
55
董卓を軸に曹操、孫堅、劉備など見慣れたキャラクターが登場してきましたが、王朝の運命を描いていた二巻までに比べて、主題がちょっとぶれているような気がしてしまいました。その辺キャラ立ちに振り切った『演義』ではなく、正史を基準にしていることが根本にあるのかも知れません。読者としてはやっぱり呂布とか出てくると期待しちゃうんですが、この作品では地味だしね。2024/10/27
Die-Go
51
図書館本。黄布の乱が平定され、いよいよよく見知った三国時代へと時は進んでいく。曹操、孫堅の活躍を尻目に劉備は未だ雌伏の時を過ごす。董卓の暴政により、皇帝はすり替えられ、忠臣は弑されていく。★★★★☆2022/03/29
Book & Travel
45
三巻は黄巾の乱から董卓の暴政、反董卓連合軍まで。正史ということで馴染んだ話と違う所も多いが、ようやく三国志の時代に入った感がある。膨大な数の人物が紹介され、各々が故事を語り出すと挫けそうにもなるが、知った人物が活躍し出すとやはり惹き込まれる。董卓に対し兵を挙げた袁紹ら諸侯は、大義も決断力もなく、ただ時を費やし勢力争いまで始める始末。混沌とした情勢の中、小勢力ながらただ二人董卓に挑戦した曹操、孫堅の颯爽とした姿が印象に残る。乱世にあって、英雄になる者、力はあるのに英雄になれない者の差の描き方が興味深かった。2022/03/15
Haru
36
今のところ、宮城谷三國志は曹操推しですね。出会う人皆が曹操に惚れ込むと描かれています。袁紹、袁術はダメダメ。劉備はほとんど出てきません。趙雲と出会うも、劉備の左右に関羽と張飛が寄り添う様を「旨い酒を売っているのに猛犬がいるため客の寄り付かぬ店のようなもの」として、関羽や張飛に勝るものは劉備に寄り付かないだろう、ゆえに趙雲も去ったとしています。北方三国志とはずいぶん違う書き方で面白い。ただ(当たり前だけど)話が色んな人に飛ぶので、整理するために漫画の横山三国志に寄り道してもいいかなー、と思い始めてます。2019/09/22
みや
35
今まで読んできた本では何進や董卓が悪者という印象が強かったけれども、その根底に何十年も続く宦官と官僚のいがみ合いがあったとは。これを知った上で三国志を見ると本当に面白い。演義では黄巾賊が主軸となる時期だが、黄巾賊以外にも様々な部族や盗賊たちによる反乱が各地で起こっている。しかし、外患よりも内部での上下関係や敵対関係が見苦しい。そんな人物たちの中で皇甫嵩と孫堅がとにかくかっこよかった。我を通しても捨てても隠しても駄目な時は駄目。生き残るために必要なのは知恵でも努力でもなく、運なのだと感じた。みんな頑張れ。2019/04/25