内容説明
人間五十を過ぎたころから、世の中がよく見えてくる。と同時に肉体も衰えてくる。“肉体の老化”ばかりが取り沙汰される昨今、五十過ぎの人たちの知恵を借りることこそ、生きる知恵というものではないでしょうか。そう、人生は五十一からです。「週刊文春」好評連載エッセイ、初の文庫化。
目次
年の始めの…
“飢え”の記憶の曖昧さ
初老性うつ状態のこと
うつ状態どころじゃなく
ジャーゴンと御用聞き
英会話が苦手なわけ
景山さんのこと
むかしも今も
ラジオ・デイズ1998
セレモニー下手と「男はつらいよ」〔ほか〕
著者等紹介
小林信彦[コバヤシノブヒコ]
昭和7(1932)年、東京生れ。早稲田大学文学部英文科卒業。翻訳雑誌編集長から作家になる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えか
33
1998年の分のコラムを集めた本。映画『タイタニック』や『踊る大捜査線』が、この頃だった事にも驚くが、たった25年で、小林信彦の筆調が、こうも絶望感に苛まれるものなのかと、ここのところ読んでいた、10年ほど前のシリーズと比較して思う。この頃の小林信彦は、明らかに闘っていた、何かを変えようとしていた。その後おこった同時多発テロ、リーマンショック、インド洋そして東北の大地震と津波、原発の事故、トランプ大統領の誕生とアメリカの混乱、ロシアのウクライナ侵攻。小林信彦の心が折れたのは、どの時点であったのか。 2023/09/16
ワッピー
20
分岐に分岐を重ねた読書迷路からようやく小林信彦の路地に回帰。1998年のコラムを掲載。映画、お笑い芸人、使って恥ずかしい<恥語>ノートと話題がいろいろなところに飛んでも、どれにも滋味を感じます。当時、何も考えずに過ごしていた頃、このような文章が書かれ続けていたんですね。当時の小林信彦の年齢を超えてしまいましたが、いまだにこんなに大人にはなっていません。自分のレベルの低さにはいつもながら愕然としますが、次にこの路地に回帰するときまでには、少しは成長を果たしてあまりひどく落胆しないで済みますように!2019/03/26
林 一歩
8
スティーヴン・キング「シャイニング」に係る考察とスポーツにまつわるプチナショナリズム批判には膝打ち。2012/05/03
amabiko
5
今からちょうど20年前の週刊誌コラム。ちょうどこの頃自分は働き始めた頃で、あーそう言えばそんなことあったなー、とか思う一方、著者はこんな風にあの時代を捉えていたんだと、とても興味深く読んだ。著者による映画や本の評価を絶対的に信頼しているので、メモを取りつつ読んだ。2018/12/24
bookworm1963
4
複数のペンネームを持つ小説家、放送作家、雑誌編集者、映画評論家などマルチな文化人である小林氏のエッセイ。1932年生まれと調和一桁の父親世代なのでタイトルの年齢に達しているにも拘らず少し距離感を感じた。2015/06/27