出版社内容情報
息子が生まれ、幸福そうな姉夫婦。でも不安な影が滲み出す。私の過去の不穏な記憶が甦った時、破局と共に忌まわしい真実が明かされる
内容説明
わたしの姉は若くして死んだ。姉はいつも美しく、聡明だった。そう、姉に息子が生まれたあの夏も。あの暑い夏の日々、姉は幸福の絶頂にあるはずだった。けれど破滅の種は、すでに蒔かれていたのだ。だがわたしは気づかなかった―そっと近づく不吉な足音にも、わたしたち姉妹の過去の秘密にも、自分自身の封印された記憶にも。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
椿子
9
淡々とした日常の中にひそむ、どーんとした暗さを描くのがめちゃくちゃ上手だな、と思った。男性は出てくるけど、思いっきり姉妹の結びつき(執着ともいえるけど)の話。やけに長ったらしい料理描写も含め、とても良かった。最後読み終わったあと、じーんと登場人物に思いをめぐらせてしまうような、いい作品だった。2017/09/25
vertigo
3
そうか、帯はトマス・H・クックのファンにおすすめ、だったのね。イアン・マキューアンから変態性を抜いたような印象(「200年でいちばん暑い夏」と「姉妹」と「屋敷」に『贖罪』のそれを思わせる)。奇妙な語り口と唐突な回想の繰り返し、何よりこの姉妹の「よくわからなさ」がそのままねっとり描かれていてちょっとしんどかった。料理描写が素晴らしい。2014/09/09
N田
2
読んでみたきっかけは、p.223の「魚のスープ」を再現していた料理ブログ。こんな中途半端な推理純文学、一体誰に受けるというのか。翻訳も内容理解できてないから題名まで誤る。ひどすぎ。2020/12/03
慧
0
★★1/21999/11/24
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- 和書
- 野生の棕櫚 中公文庫