出版社内容情報
ある老人が仕掛けた十億円の贈与騒ぎ。贈与候補者達は、ひと月の生存を義務づけられる。第十三回サントリーミステリー大賞受賞作
内容説明
「あなたに10億円差し上げます」―ある老人の出した奇妙な新聞広告をきっかけに、社会全体が狂奔しはじめる。贈与の条件はただひとつ、8月の1カ月間生存すること。殺到した応募者から3人が寄贈対象者として選ばれるが、一人が謎の死を遂げる。そしてまた一人が…。第13回サントリーミステリー大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamakujira
3
10億円を3人に贈与するという破天荒な広告を打った老人、桶狭間権兵衛。殺到した応募者から決まった当選者が次々に不慮の死を遂げる。老人の目的はなにか、殺人事件の犯人は誰なのか。嫉妬から悪意と殺意が醸成される世間の狂奔がじわじわと迫る。人間の醜悪な心理をえぐりだすような展開に惹かれたけれど、だんだんスケールダウンしちゃった感じだ。もっと大きな復讐劇だと思ったのにな。そもそも10億円あれば、もっと労せず集合も救出もできるだろうに。老人が期待するほど、一般大衆は危機感を感じなかったと思うね。 (★★★☆☆)2015/09/01
ニョンブーチョッパー
2
○1999/09/10
しお
1
十億円の寄贈金、一か月の生存条件、高額の生命保険。これらをキーワードに物語は進む。斬新な着目点に心惹かれる。掴みはOK!ん?!しかし中盤以降読んでも読んでもなかなか物語が進展しない。言い換えれば引っ張りすぎている。にもかかわらずミステリーものの醍醐味といえる徐々にパズルのピースが埋まり、絡まった糸がほどけていく快感が味わえない。なぜか?伏線やヒントが薄く多すぎて全く絞れず解けない。結局最後の数ページで全ての種明かしを語り口調で披露する悪いパターン。酷評になったがもう少しアプローチを変えれば良かったのでは。2019/06/02
かおり
1
私は好きです。ラストが実に良い。森純さんの作品をもっと読んでみたかった。2012/09/15
かえで
1
いつ買ったか覚えてない積読本。なかなか凝った設定。犯人の動機にむりやり感はあるものの、意欲作であることは間違いない。作者の急逝が惜しまれる。2011/01/23