出版社内容情報
戦場で死んだ男たちも無残だったが、残された女たちも無残だった。内縁のまま子どもを生み、苦難の人生を歩いた女性などの姿を描く
内容説明
昭和17年6月太平洋戦争開始後、日本軍が初めて大敗を喫したミッドウェー海戦。戦場で死んだ男たちも無残だったが、残された女たちも無残だった。内縁のまま子どもを生み、戦死した夫の親にその子の認知さえ拒まれた女性、日本の艦艇に救助されながら捕虜となり処刑された米機の搭乗員など、戦場の残虐を語る衝撃の新事実。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
28
2巻では著者の調査により、ミッドウェーで米兵の捕虜が殺害されていることが判明。その記事が新聞に載り、読者欄でやり取りがあり考えさせられる。果たして日本人の鬼畜たる暴行は暴かれるべきか、隠しておくべきか?著者は米国に渡り、やはりミッドウェーで犠牲になった米兵の遺族から聞き取り調査をされている。2019/12/25
CTC
9
87年文春文庫、初出はサンデー毎日の連載で単行本も毎日新聞社。全3巻の2(単行本は全6巻だそうで…)。当巻の半量ほどを割いて、米飛行兵捕虜の処刑を追っている。この作品のアンコの部分といっていい巻だろう。米軍が戦後押収した1航艦の戦闘詳報には、捕虜の姓名階級等の記述があり、米軍はこれに基づいて戦犯捜査をしている。結果として1人の戦犯も出す事なく終わった事もあり、事実は永らく語られず…澤地がこの取材で掘り起こし…84年2月17日朝刊には「米捕虜処刑の新事実」と大きく報じられたそうだ。当時も大論争だった由。2020/08/07
後藤良平
0
全体の約半分を占める、第12賞「嵐のあと」が重い。ミッドウエー海戦中の、日本軍による米軍捕虜殺害に関するもの。まさに戦争の事態とも言える話だが、米軍は船から脱出し海に浮いている日本兵を機銃掃射したという記述を読んだことがある。船や飛行機は作れるが、熟練した兵士は簡単に育成できないからと。そういう戦い方と、救助した捕虜の殺害と、どっちがどうかという気がする。しかし、戦士の場所すらはっきり遺族に知らせない国は、冷たいな。せめて敗戦後には国として機密を解除して、知らせるべきではないか。年間No.78 榴岡図書館2020/07/30