出版社内容情報
「江戸名所図会」に登場する日本橋、隅田川、銀座通りなど約三十カ所を訪ね、現在の東京とそこに息づく江戸をとらえたエッセイ集
内容説明
時代小説家の著者にとって、無二の友というべき「江戸名所図会」。当時の風景、風俗を単に描いただけでなく、そこからは生活の鼓動さえ伝わってくる…。本書は、「図会」に登場する日本橋、隅田川、護国寺、不忍池、麻布など、三十カ所余りの名所を訪ね、現在の東京とそこに息づく江戸を、独特の視点でとらえたエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
65
本書の肝は何と言っても、「江戸名所図会」にある。「江戸名所図会 - Wikipedia」によると、「江戸名所図会は江戸時代後期の天保年間、斎藤月岑が7巻20冊で刊行した江戸の地誌である」。 本書の後書きでも作者が書いているが、「考証の確かさと、当時の景観や風俗を伝える雪旦の挿図が高く評価されており、江戸の町についての一級資料になっている」、その遺産のありがたさもだが、江戸名所図会の成り立ち自体がドラマである。2020/06/08
ぼうさん
6
タイムスリップして江戸旅行したような気持ち。江戸名所図会の挿絵を現代と比較しながら見ると、四谷のちょこっと残ってる石垣はこんな立派だったの!とか、神田川で小舟に乗りながらぼーっと空眺めてる遊山客いるやん!とか、銀座昔から格好良すぎ!などなど、知ってる土地なのに、新発見ばかりでたのしい。また、今も残っている公園、寺社やお祭りが江戸時代からあったことを改めて読み、全く違う古今の街並がとても尊くて親しいものに感じた。杉本さんの江戸に対する愛や親密さを感じられる素敵な読み物。また東京を歩くときに読み返したい。2023/03/29