内容説明
ある深夜、青山記念病院の救急外来に自動車事故の重症患者が運び込まれた。それは、現場に立ち会った市の医師会会長の指示だった。やがて、治療が施されていく過程で蠢く様々な思惑。そこには治療費を巡る、病院と損害保険会社との争いがあった。患者を無視し、欲望のままに行動する医師たちを描いた問題作。
著者等紹介
伊野上裕伸[イノウエヒロノブ]
昭和13(1938)年、大阪府生まれ。国学院大学日本文学科卒業。高校教師、興信所調査員等を経て、昭和50年から損害保険調査員として働く。以来、三浦和義事件をはじめ交通事故・医療・火災調査など数多く手掛けた。平成6年、「保険調査員 赤い血の流れの果て」で第33回オール読物推理小説新人賞を受賞。平成8年、『火の壁』で第13回サントリーミステリー大賞読者賞及び日本リスクマネジメント学会文学賞を受賞した
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感想・レビュー
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fukafkacraft
2
タイトルで損してるが池井戸作品並みの傑作。損保会社の社員が主人公だが、これはまったく医療版の半沢直樹。少々専門用語が多すぎる面はあるが、医療制度の隙間を狙った不正を暴く勧善懲悪もの。半沢と同じくらい売れてもおかしくないのに知名度が低いのはなぜ?2016/09/06
kaikoma
1
小説に必ずしも現実に沿ったリアリティを求める訳ではないのですが、それでも特殊な職業を描いたミステリーは、実務経験の有る作者が纏めると臨場感が違いますね。技術が特殊で、巨額のお金が動く医療の闇の深さが伝わってきます。2017/03/04
yamakujira
1
金銭欲と名誉欲に取りつかれた医師会長と副会長、そして大学教授と薬品メーカーに官僚。一線を越えてしまった彼らの姿は悪魔だね。一方で副会長に目の敵にされる黒田病院も経営がずさんだし、仁術と商売の両立は難しいんだね。青山と組まなければ、村瀬と出会わなければ、古沢は大成したかもしれないのにな。フィクションだと信じたいけれど、現実も近いのかもしれないと怖くなる。 (★★★☆☆)2014/07/25
whizz
1
患者よりも金と権力が大事な医者の発言にイライラさせられた。実際にこういう医者が多かったらゾッとする。病院の裏の世界を知りたい方におススメ。医者同士の会話で患者さんを呼び捨てなのが気になった。2013/05/28
しゃくれ
0
ん〜…まぁ、医師とプロパー、病院経営者と熱血医師、医師と事務員等々のゴタゴタは、よく見聞きする話。2013/08/17
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