出版社内容情報
ミステリー作家が挑む50年前の少女殺害事件の真犯人探し。自身の暗い過去が甦るなか、戦慄の事実が! 書評子絶賛、クックの最新作
内容説明
ミステリー作家ポールは悲劇の人だった。少年の頃、事故で両親をなくし、その直後、目の前で姉を惨殺されたのだ。長じて彼は「恐怖」の描写を生業としたが、ある日、50年前の少女殺害事件の謎ときを依頼される。それを機に“身の毛もよだつ”シーンが、ポールを執拗に苛みはじめた―人間のもっとも暗い部分が美しく描かれる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
90
記憶という名前がついているが、前三部作とは違い一人称ではなく ミステリー作家ポールが 語るという 三人称の形態をとっている。クックが 描く世界は 健在だが、・ミステリー作家ポールが 創出した 虚構の世界・作家ポールが 体験した 姉惨殺の描写・調査している50年前のフェィ惨殺の謎がかなりクロスオーバーしているので、やや混乱してしまうことは 否めない。クックの描く人間の心の闇はかなり根深い方向に進もうとしており、最後あたりまでくると「この本は気の弱い読者には勧められない」という書評もわかるような気がする。2010/05/16
優希
60
時代や事件が過去と交わっていき、陰鬱さが漂います。ミステリー作家・ポールの悲惨な事件と50年前の少女惨殺事件。ここにポールの描く作品が絡み、濃密なミステリーの世界が構築されていると思います。身の毛もよだつような事柄がポールを執拗に苛んでいくのが鳥肌ものです。登場人物誰もが心の闇を抱えており、いつ崩壊するかも分からないのが絶妙ですね。全ての事件が繋がったときの真実が重く感じました。静かに、人間の最も暗い部分を美しく描かれています。静かな陰惨さの中に、最後に見せる僅かな光が救いだと思いました。2015/01/23
星落秋風五丈原
36
やはり村松潔さんの訳はいいですねえ。スロヴァックとケスラーという悪党VS刑事の人気シリーズを持つ作家ポールには辛い過去が。ある日フェイという少女が死んだ事件の調査を依頼される。ケスラーが誰か?というのが最後に明かされる。まさか大戦が絡んでくるとは。読メ間でも好き嫌いはっきりわかれてますね。2023/06/15
イノ
21
最初は面白かったが半分くらいで斜め読み。どうも相性が悪いみたい…。2016/09/25
♪mi★ki♪
20
幼少時に目の前で姉を惨殺されたポールは、長じて暗い記憶を元にミステリー作家になっている。彼は、殺された姉と同年代で殺された少女の真相の推理構築を依頼され引き受けるが、調べていくうちに自らのトラウマと対峙することになる。まず、登場人物が多い。ポールの作品の登場人物も事件経過に合わせて絡んでくるので、多少複雑な構成。お決まりのある重いテーマが真相の一部にあり、よくよく注意深く読んでれば気づけた伏線もあっただろうに、漫然と読んでしまって少し後悔。どよ〜んと重く霧がかかったような読後感で好みの分かれるところ。2016/05/06