内容説明
没後十年―国民作家として愛され、今なお映像化される小説の数数、自在な着想の古代史、鮮やかな昭和史。広大な作品世界に迫る総特集、待望の文庫化。
目次
1 私の想い出(清張さんとの空の旅(中江利忠)
ただ一つの思い出(佐藤愛子) ほか)
2 巨大な山脈(清張さん、ちょっといい話(水上勉/井上ひさし)
松本古代史は何を変えたか(森浩一/江上波夫) ほか)
3 小説と肉声(短篇小説傑作選;エッセイ傑作選 ほか)
4 清張ワールドの愉しみ(「点と線」から「霧の会議」まで―清張ミステリーの系譜(権田万治)
名作『ゼロの焦点』を紀行する(宮部みゆき) ほか)
5 創作周辺の人びと(『点と線』の頃(戸塚文子)
『黒い画集』の思い出(扇谷正造) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
24
【図書館】松本清張、有名な作家だが一冊も読んだことが無い。 「砂の器」「点と線」「ゼロの焦点」を映画で観た位、でも、これだけ巨匠なら楽しいエピソードも沢山あるだろうと・・・ 駄目だ巨匠過ぎてついていけない。 水上勉と井上ひさしの対談と宮部みゆきのエッセイが良かった。 あと、短編傑作集が何篇か載っているが、どうしても肌が合わなかった。 文体の相性と言う物が合わないらしい。 しかし、偉大な作家という事は理解した。 凄い人なんだな、合掌!2022/09/04
旗本多忙
19
松本清張が語る時、かならずや感化されたという森鴎外や菊池寛などの文豪が出てくる。大佛次郎と一回り歳が離れているが、対談を読んでいると、一緒に僕も聞いているように感じた(笑)推理の作法とかも本書で読み取れる。40を過ぎて文筆に精を出したが、数多くの作家達に文士として作品研究の成果を知らしめたのではないだろうか。自身は学歴のないことで、かなりの苦労もしたようだが、これだけありとあらゆる分野の著作を残したのはとてつもないことだ。短編こそ清張の真骨頂ではないかとあるが、人間の生活の滲み出たものがあるだろう。2023/10/12
さっと
13
『清張鉄道』に続いて清張ガイド本として読了。著者逝去後すぐに出た文藝春秋臨時増刊号(1992年10月号)が初出で、没後10年を経た2003年3月に文庫化。700ページ超えのボリュームで巨人の足跡にあらためて圧倒される。親交のあった作家らによる追悼の記、水上勉×井上ひさしの追悼対談、芥川賞受賞作「或る「小倉日記」伝」の選評含む短編小説傑作選、大佛次郎や石川達三ら先輩文士との対談、講演録、各界の著名人による「私の好きな清張作品」、全集月報からとられた編集者らの思い出、年譜を収録。表紙は和田誠。2023/01/22
浅香山三郎
7
700頁を超へる分厚い文庫本。清張さん没後に編まれた『文藝春秋』別冊を文庫化してをり、清張さんの短編・講演録・対談、交流のあつた人々による回想記などからなる。「或る『小倉日記』伝」、「西郷札」、「断碑」、「父系の指」などの作品は、やはりだうしても清張自身の境遇の反映が色濃いことを再認識した。また、講演録からは、彼が菊池寛の作品や人柄にシンパシーをもつてゐたことなども分かり、興味深い。大佛次郎・川口松太郎・石川達三といつた先輩作家らとの対談は、聞き手としてのうまさと、清張の文学的関心の広さを窺はせる。2016/09/27
nutaki
3
清張ファン必読の本。『或る「小倉日記」伝』『西郷札』『啾啾吟』『断碑』『父系の指』掲載。井上ひさしと水上勉の対談が面白い。2015/07/10