出版社内容情報
一九七〇年代の殺人事件の数々を公判調書、新聞報道、関係者に直接取材し殺人者の"日常"を描いて犯罪小説の金字塔をうちたてた犯罪ものの第一人者が描く画期的ドキュメンタリー。解・日名子暁
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TakaUP48
46
14人の殺人者の事件を追う。「虚構の花嫁」架空新婦をでっち上げ結納金等をせしめられ、結婚式の前夜に殺されたあまりにも純朴な新郎が、可哀相だ。「饒舌な詩人」妻子持ちながら、白いクーペとベレー帽で次々とナンパを繰り返し、8人を毒牙にかけた「ボクちゃん」こと大久保清。どうしてこうも欺されるのか?「褐色の銃弾」沖縄のヤクザ抗争は、ハラハラドキドキ。「何処へ行ったの?」田舎から出てきた繊維工場の女子や家族を言葉巧みに騙し、2女子を殺害した織物会社社長の御曹司。昭和の貧富の差と純朴さとで犠牲になった人々が余りに辛い!2021/12/14
gtn
8
しぶとく自白しようとしなかった非情の大久保清がたまらず自供したのも、被害者の残像に苦しめられたことと、孤独に耐えられなかったことが原因だと思う。よほど苦しかったのだろう。控訴さえしなかった。大久保は人間という生き物の弱さを浮き彫りにする。2019/02/27
Yuji
6
「復讐するは我にあり」でルポ小説の手法を確立した作家であり、ちょっと期待していましたが、解説を書いている、もう一人別のルポライターとの共著に近いものなのか?週刊誌的なやや下品な語り口が引っかかって、面白いと思えず。残念。2016/12/04
Gen Kato
1
副題の通り「隣人」としての視点から描かれた、1970年代はじめの殺人事件記録。まったく理解の外の「異人」としか言いようがない犯罪を多く耳にすることが多い現今、その視点が救いというか、懐かしいというか…2014/04/20
wasabi
1
殺人って随分と日常のことなんだねぇ。正しくは、殺意が日常にあふれてるってことかなぁ。周到な計画もなく、わずかな金を強奪し、思いのままに強姦し、そのうえ口封じであっさり殺っちゃうんだから。百科として連ねられると、もう麻痺しちゃって殺人をとても近く感じる。2007/07/13