内容説明
インタヴュアーの役割のひとつは、相手の内部の溢れ出ようとしている言葉の湖に、ひとつの水路をつなげることなのかもしれない…。彼ないし彼女を理解しつくしたいと願いつつ、人と会う。胸揺さぶられる一瞬を期待し、ボクシングを、映画を、オリンピックを見る。デビュー以来、飽くことなく続く「スタイルの冒険」。
目次
水路をつなぐ―会う(兄貴分;オーケーよ;知恵の木;幻の「西四十三丁目で」 ほか)
不思議の果実―見る(挽歌はもう歌えない;自己の再生という幻想;さらさらとした悪夢;映画のための風景 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
84
インタビューの役割とは?相手の内部の言葉の湖に、水路をつなげることかもしれない…。彼のスタイルが垣間見れる。「女優」の吉永小百合のインタヴィュー、常に普通を意識した生き方が浮き彫りになる。「秋のテープ」の美空ひばり、スーパースターの知られざる素顔が垣間見れた。「三枚の写真」では、戦争写真家のキャパの伝記を翻訳する仕事を得て、キャパの人間像に問い直す観点から書かれた文書が読ませる。キャパの生き方を再認識するきっかけを貰えた。「持てる者と持たざる者と」は、「一瞬の夏」のカシアス内藤の話、後日談もあり読めた。2023/09/18
KAZOO
80
沢木さんの1990年前後に書かれたエッセイをまとめたものです。三分冊(「象が空を」という1冊のものを)に分けたもので、この巻では「会う」と「見る」という分野に大別されてそれぞれ当時の状況が思い出されます。「会う」では吉永小百合や美空ひばりのインタビューの様子が語られます。ただ東ベルリンで聴いた「雨音はショパンの調べ」の原曲から小林麻美からもらったレコードについての話が一番印象に残りました。2025/04/08
よし
5
沢木の魅力とは、「その自由な発想、たくましい生き方、さらにさまざまな世界に入り込み、それを巧みに表現していくその姿。」「偶然は誰にでも訪れる。その偶然にどう反応するかで、その後の人生が大きく変わってくる。」それを体現した人といくことか。「持てる者と持たざる者」はおもしろかった。カシアス内藤が、なぜ世界チャンピオンにならなかったか。アリがフォアマンに勝った奇跡の試合と比べていく。 「三枚の写真」で、ロバート.キャパの人生をみごとに切り取ってしまう筆の確かさ。やはり今度も引き込まれていく。 2019/07/25
Yasutaka Nishimoto
2
インタビューにまつわるエッセイ。芸能人からスポーツ選手まで幅広い。ヘルシンキの世界陸上、ロサンゼルスオリンピック、カシアス内藤との関わりが面白く読めた。2018/07/28
ドナルド@灯れ松明の火
2
【後日追記】沢木得意のインタビューエッセイ。しかも後半は彼なりの映画評論が沢山掲載されていてお得感があった。インタビュもすごくスキルが必要だし、それをまたこのようにエッセイに表せるなんて・・・ 2008/11/14
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