出版社内容情報
少年の刃が委員長の胸を貫いた瞬間から社会党への弔鐘が鳴った。テロリストと野党政治家が激しく交錯する一瞬を描き切るニュージャーナリズムの傑作。大宅賞受賞
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
34
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。1960年の事件。浅沼社会党委員長が刺殺された。 欧米であれば銃を使うので撮影は難しいであろう。しかしニ矢(おとや)は短刀を使い、その瞬間が見事に写真で捕らえられている(ピュリッツァー賞受賞、始めて写された殺された瞬間。ネットで写真を見ることも可能)。犯人は右翼団体に属する17歳の少年。わずか17歳にして自己の思想を持ち理想を掲げていた。この事件を被害者、加害者、その周りの人々から描き、テロの一面を深く見つめさせる。この二矢の決意は誰も真似できない。2019/03/02
ちくわん
23
1982年9月の本。久しぶりに一気に読んだ。自分が生まれるちょっと前の出来事。事件はその後、何度も目にすることがあったが、こういうことだったのか。沢木氏はさすが。感想はのちほど、ゆっくりと。2022/01/10
Miyako Hongo
21
人間の想像力は起こったことを納得するために発達したんじゃないかと思う。だから小説は現実を越えられない。ただ一途に、真っ直ぐに走った17歳のテロリストと、真っ直ぐに生きたいと願いながら戦前・戦後の混乱期を渡った61歳の政治家の一瞬の邂逅。こんな作ったみたいなシチュエーションが現実に起こるんだから世の中をなめちゃいけない。名著。ちょっと泣いた。 □どれだけ技術が発達しても”年を重ねる”という感覚だけは伝えられないんじゃないかと思う。17歳のこの少年にそれを教える術があれば、この結果はなかったろうに。2014/08/02
かんがく
17
ピューリッツァー賞の写真でも有名な、右翼青年の山口二矢による社会党浅沼稲次郎委員長刺殺事件を描いたノンフィクション。沢木は『深夜特急』『キャパの十字架』に続いて3作目だが、どんなテーマでも面白く書ける文章力に感動する。加害者である二矢と、被害者である浅沼の生い立ちや性格を丁寧にかつ淡々と描いており、その中で戦前から戦後に至る日本の右翼と左翼についても見えてくるものがある。2人の人間がよくわかった上での刺殺シーンは複雑な感情になった。2018/12/25
kou
14
私が二十歳台前半に当時所属していたゼミの友人が勧めてくれた本です。 結局沢木耕太郎に嵌るきっかけとなった一冊となりました。 今読んでもいろいろ考えさせられるね。 沢木さんの本は結構難解だが、なんか惹きつけられる文章だといつも感心する。2015/01/05
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