内容説明
大内氏と尼子氏の二大勢力のはざまで翻弄され続ける元就。たび重なる危機的な戦い、身内の裏切りなど苦境を乗り越えて、戦国時代屈指の名将への階段を上っていくが、隣にはいつも、愚痴っぽい元就を支えた妻の天性の明るさがあった。三人の息子たちとともに乱世を生きぬく武将とその妻を描いた長編小説。
著者等紹介
永井路子[ナガイミチコ]
大正14(1925)年、東京に生れる。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。昭和40年、「炎環」で第52回直木賞受賞。57年、「氷輪」で女流文学賞受賞。59年、第32回菊池寛賞受賞。63年、「雲と風と」で吉川英治文学賞受賞。平成21年、「岩倉具視」で毎日芸術賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
173
大内氏と尼子氏という二大勢力の狭間で、 生き抜いた夫婦の物語… 元就の愚痴の多さとは 対照的な、 おかたの 明るさが良い。 おかたに 軸を置いた物語であるために、 戦国時代前夜で 終わるのが 少し残念だが、 著者独特の 女性史観が 窺えて、興味多い 作品だった。2018/11/06
とん大西
108
おかたと夫婦になった頃は吹けば飛ぶよな地方の小領主に過ぎなかった元就。以来、10年20年。ホームドラマ感を醸す上巻から転じ、毛利の威勢が拡大するにしたがい、硬質な戦国ドラマとなった下巻。その為、おかたの登場場面が減ってしまったのは仕方なしか。若くして病死(47歳)するのがわかっていただけにもう少し彼女を絡めたシーンがあっても良かったかも。とはいえ、その後の大毛利の躍進。元就とおかたが築いたささやかな家庭が関ヶ原や幕末でキャスティングボートを握ることになると思うと…歴史の妙といった趣です。2020/07/04
憲法記念日そっくりおじさん・寺9条
92
完結。面白かった!。当時の安芸・備後の小領主達は、大内と尼子の二大勢力の風向き次第で右往左往させられる存在だった。その最前線で最も戦い最も怒っていたのが毛利元就であろう。領民を全て入城させて篭城するリアル『のぼうの城』も行っている。大内の不甲斐無さに私も立腹した。物語は元就の妻・おかた(美伊)の死で終わる。衰えたおかたが切ない。妻が死んだ時、元就はまだ小領主である。彼女の死後に中国の霸者となるのだが、愛妻不在で巨大化した元就の胸には、晴れる事のない山霧がずっとかかっていたのかも知れない。お勧め。2015/05/13
MAEDA Toshiyuki まちかど読書会
38
再読。元就とおかたが懸命に戦国の世を生き抜いて、道を切り拓いて、毛利家の礎を築いた。その夫婦の生き様に心を打たれた。ラストシーンはしみじみと霧雨が心に染み入るように感動し、しばらく動けなかった・・・2016/07/23
糜竺(びじく)
27
元就の妻おかたが47歳で亡くなって作品は終了。これから元就が活躍するって時に終わってしまったので、その続きが気になった。2024/12/11
-
- 電子書籍
- ボスが誰かのものになる〈【スピンオフ】…