内容説明
激動の戦国時代に、織田信長という風雲児の妹に生まれたがため、またその比類なき美貌ゆえに、お市の方は激しく厳しい運命を生きる。近隣の国々を切り従え、天下を狙う兄・信長。その兄と対決せざるを得ない最愛の夫・浅井長政との日々加速する抗争のはざまに身を置き、お市は苦難にみちた生涯の一歩を踏み出したのである。
著者等紹介
永井路子[ナガイミチコ]
大正14(1925)年、東京に生れる。東京女子大学国語専攻部卒業。小学館勤務を経て文筆業に入る。昭和40年、「炎環」で第52回直木賞受賞。57年、「氷輪」で女流文学賞受賞。59年、第32回菊池寛賞受賞。63年、「雲と風と」で吉川英治文学賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リリー
14
お市の幼い頃からの様子、戦国の女性の複雑な立場、実家と嫁ぎ先の間で揺れ動く様を丁寧にに書かれていて楽しめた。下巻へ。 2016/07/14
鈴
14
読友あきさんからのご紹介で衝動買い。お江主役の本を読んだばかりだったので、その母お市主役のこの本もとても興味があった。私のイメージするお市とは違っていたが 案外心の中はこうだったのかもしれないなとも思った。下巻へ続く。2011/06/25
紅花
11
女の私からすると、永井路子さんにハズレはない!政略結婚を強いられ、個人の意思は無視されていたかのような、印象を持ちかねない、今までの小説よりも、女性よりも、もっと生き生きと、知恵とプライドを持っている生き方の方が、しっくりする。この先、前途多難なお位置の方が、どんな思いで何を考え、どう生きていくのか。下巻も気になる。2022/08/14
エドワード
11
ずっと昔に読んだ本だが、大河ドラマに因んで再読。永井路子の小説とは、高校生の時に読んだ「北条政子」以来30年以上のおつきあい。「この世をば」等の平安もの、「炎環」等の中世ものが特にお気に入り。時々「通説では何々であるが、これは間違いで」といった客観的な解説文が入るのがこの作者のユニークさ。現代とは全く異なる時代に生きた女性の心情描写には胸打たれる。「流星」は他の作品に比べテンポが速く、あっという間に終わるが、お市の方が薄命だったので仕方なかろう。「江」のサブタイトル通り、まさに姫たちの戦国そのものである。2011/02/02
ミツヒデ
6
お市は兄信長と夫長政の狭間で翻弄された薄幸の美女というイメージで捉えられていますが、永井路子さんのお市は聡明な意思を持った女性として描かれています。そして永井さんの女性ならではと感じる歴史観はとても新鮮に感じます。 2015/03/25
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