出版社内容情報
駿河の今川氏親に嫁いだ悠姫は、武家と公家の違いにとまどいつつ激動する戦国に翻弄される…今川義元の母・寿桂尼を描く歴史長篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
116
今川義元の母である悠姫を描く。寿桂尼としての名がより有名か。悠姫は今川氏親の正室として今川仮名目録を氏親と作る。氏親没後は幼い氏輝、義元の母として領国経営を行い今川氏を繁栄させる。更に義元が桶狭間で討たれて後は氏真を支える。実態としては女戦国大名と言えよう。上巻では中御門家から今川家に嫁ぎ嫡男と次男が誕生し、氏親の遠江制覇迄。寿桂尼こと悠姫の器量の大きさと慧眼さが伝わる。更に戦国初期の公家と武家の様子が知れて興味深い。伊勢宗瑞こと北条早雲も登場。北条氏と今川氏の結び付きの強さの理由を知る。読みやすい良作。2020/09/15
糜竺(びじく)
44
初めて直木賞作家の永井路子さんの作品を読みました。とても読みやすく引き込まれ、結構、面白いです。なかなかマニアックで、織田信長に桶狭間の戦いで討たれた今川義元のお母さんになる大納言中御門家の悠姫が主人公です。京都で育った公家のお姫様が、今でいう静岡県地方の強力な戦国大名の今川家に嫁ぐお話です。戦国時代初期を扱っていて、しかも今川家を舞台にしている作品はなかなかないので、色々と新鮮な気持ちで読めました。しかも女性目線の戦国物っていうのも興味深いです。下巻は息子の義元とか登場するんでしょうか?楽しみです。2015/06/21
金吾
28
当時の出自による生活習慣の違いが面白いです。戦国武将の妻という点よりも嫁姑を始めとした女の冷戦に主点があるように感じられ、今に置き換えられる話だと思いました。2023/01/02
紅香
28
中御門家から戦国大名、今川家に嫁いだ悠姫。悠姫の見た戦国とは。。管領が将軍を操り、管領を家臣が操る。家臣は自分たちの利害だけを考えて対立し、殺し合いをする。世は下剋上。いつの世もこんな方程式が出来上がる。環境が過酷であればあるほどそれは露見する。おっとりとした悠姫が姑や夫、氏親との女性関係をどう心に収めて行くのか。女性として見届けておきたいところ。「虚空幻影」の章では男の論理と女の論理がキッパリと別れ、言葉で説明しようにも説明しきれないもどかしさはリアル。こうしてすれ違う様は永遠のテーマだと思う。下巻へ。2021/01/16
紅花
13
公家から武士に嫁ぐことが、どういうことなのか?中央から地方に行くということは、どういうことなのか?想像を遥かに超える世界を、悠姫を通して身近に教えてくれる。そして、公家が弱体化して武士に気を遣っている様も面白い。この頃の生活様式、価値観を知った上巻で、まだ、彼女の人生は波瀾万丈ではないけど、下巻がどうなるか?2022/09/18
-
- 和書
- ドカベン 完結…