出版社内容情報
後醍醐帝、楠木正成、足利義満など、歴史の流れを変えようとした「主役」たちの哀歓を、著者ならではの鋭い史眼で生き生きと描く
内容説明
政治と権力に恐ろしいまでの執念を燃やしつづけた後醍醐帝、その蔭でフィクサーとして動いた僧・文観や忠臣・楠木正成、南北朝統一をはたし栄華をきわめた足利義満など、中世の「主役」ともいうべき人物たち。歴史の大きなうねりのなかで、その流れを変えようとした彼らの哀歓を、著者独自の視点を交えて描いたノンフィクション。
目次
1 古代史の明滅
2 執念と野望の世界
3 中世の栄光と落日
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
39
【再読】永井路子の歴史上の人物たちに関するエッセイ。どの章も楽しく読んだ。特に伴善男についての話がよかった。2024/09/02
kurayamadasoga
2
後醍醐天皇と足利義満の賞を再読する。2023/09/23
ゆずこまめ
1
絶対あきらめない、室町時代の人々のアクの強さにちょっと驚く。侘び寂びだけじゃない日本人の姿。伴善男を初めて知ったがこちらもアク強め。面白い。2022/07/22
sinobu
0
よそで書いたものを一冊の本にまとめたものなので、ちょっとばらばら感があるし、結構マニアックな感じですが、好きな人にはたまらないんじゃないかな。永井さんの鋭い視点はやはり素晴らしいし、物事の価値感がひっくり返る戦争を経験した人の考察は、歴史解釈にもとても深みがあって唸らされます。変革期をマクロな視点から読み解いているのも興味深いです。「平家物語」から見る彼らの死生観について語るのや、「太平記」の、天皇らしからぬ後醍醐の波乱すぎる生涯とか、楠木正成の戦法を検証するのとか面白かったです。源平や太平記好きは是非。2014/11/05
琴
0
《伴善男》(p.11〜53)のみ再読。 「深眼長髭」と史書にはある。〜中略〜 しかも体は痩せて小柄。〜中略〜 歴史上の人物--とくに古代の人々についてはその人相を伝えることは稀なのだが、伴善男については珍しくこんな記述が残っている。〜中略〜 その風貌からにじみでるものが、彼自身の生涯を象徴しているように思われたからだろうか。(p11) 見逃してはならないのは、味方びいきといっていいほどの面倒見のよさであろう。〜中略〜 善男の許には一癖ありげな連中が従者になりたい、といって集まってきた。(p27)2012/04/09