出版社内容情報
伊豆の豪族北条時政の娘に生まれ流人源頼朝に遅い恋をした政子。歴史の激流にもまれる女の人生の哀歓を浮き彫りにした歴史大長篇
内容説明
伊豆の豪族北条時政の娘に生まれ、流人源頼朝に遅い恋をした政子。やがて夫は平家への反旗をあげる。源平の合線、鎌倉幕府開設―御台所と呼ばれるようになっても、政子は己の愛憎の深さに思い悩むひとりの女だった。歴史の激流にもまれつつ乱世を生きぬいた女の人生の哀歓を描いた、永井文学の代表的歴史長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
201
第17回(1979年)NHK大河ドラマ原作。 気の強い女性のイメージが強い 北条政子の 物語である。頼朝の妻として、頼家・実朝の母として生きた 政子の視線を通して描かれる 鎌倉幕府初期の物語は新鮮で 面白い。 源氏の裏で 蠢く 北条氏・比企氏・三浦氏の 争いと 女たちの闘い… 歴史の味わいを再確認できる、作品だった。2018/09/05
とん大西
126
北条政子-大河ドラマ『草燃える』の原作だったのですね、知らんかった(^_^;)。おきゃんで一途で愛情深くて。朗らかで忍耐強くて嫉妬深くもあって。源頼朝との大恋愛で、期せずして鎌倉のファーストレディになってしまった彼女。母でもあり妻でもあった政子が権力の中枢でもがきながら、喪いながら修羅を背負って生きていきます。揶揄と畏敬を含んだ尼将軍という呼称。アクが強くややネガティブなイメージのある政子ですが、本作は翻弄されつつも彼女の豊かな人間性と業を描いた名作だと思います。2018/12/13
あきぽん
104
2022年大河ドラマ関連本。烈女イメージのある北条政子ですが男勝りというより超女らしい人だったんだなと思います。夫・子供・孫に対するむせかえるような深い愛。既婚女性の方が読んだら共感するのでしょうね。昔々、ある女の子が恋を成就させたことが、国の歴史を大きく変えたのでした。2022/01/31
i-miya
65
2013.11.22(11/20)(再読)永井路子著。 (解説=清原康正) 1989、直木賞、芥川賞100回記念展、6月、新宿、伊勢丹美術館で、日本近代文学館、日本文学振興会共催。 『吾妻鏡』展示、表紙ボロボロ。 愛着と関心の深さ。 1978、何と無愛想で読みにくい本か。 →知られざる史実、魅力に満ちた。→でっち上げ-あらさがし。 →また、存在意義を考える。 →『吾妻鏡』が言いたかったことは何か。 納戸で何度も読み返す。 2013/11/22
i-miya
52
2014.02.09(01/22)(つづき)永井路子著。 02/07 (P599) (解説=清原康正、つづき) 亡き夫、頼朝は幕府体制維持のため、非情策をとった。 政子は、尼将軍になって初めて気づく。 その夫の遺志を生かして幕府の安泰を図ろうとする。 しかし、政子は政治的人間にはなりきれない。 女としての、母としての情に流される。 頼家の遺子、公暁を可愛がったことから、逆に公暁からの恨みを助長する結果となった。 それが実朝暗殺に繋がった。 2014/02/09