出版社内容情報
壬申の乱から藤原京、さらに平城京へと都がうつる激動の時代、皇位を巡って氷高皇女(元正帝)が懸命に守り抜こうとしたものは・・・
内容説明
壬申の乱を経て、藤原京へ、さらに平城京へとめまぐるしく都が遷る激動の時代は、また裏面で皇位をめぐって大変革が進行した歴史の重要な節目にあたる。その矢面に立たされた氷高皇女=元正女帝がすべてを政治にささげ、わが身を賭しても守り抜こうとしたものは何だったのか。悲劇の女帝を描く長篇歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
カピバラ
33
氷高皇女(元正天皇)を主人公とした歴史小説。吉備と長屋が結婚したときには傷ついたが、氷高が即位する時は、こうなるべきだったのかなぁと。あと、長屋は騙されたふりといいながら、長娥子と子供作りすぎじゃない?とも笑。昔の天皇の歴史は血みどろだなぁ…と改めて考えさせられる。平成の次の天皇はどうなるのかしら…と思ってしまった。2015/04/27
みっちゃんondrums
28
持統天皇から元明、文武、元正、聖武天皇までの即位の裏には、蘇我氏系統の女性たちの意志があったというのが、新鮮だった。蘇我氏系の女帝たちは、藤原氏と対立していたと、作者は描く。主人公の元正(ひめみこ氷高)側に立って読むため、藤原氏憎し、となる。蘇我氏だって同じようなものだったのにね。気が休まることのない陰謀の応酬で、盛衰を繰り返し・・・。歴史って、いろいろな視点から描けるな。2018/02/06
こぽぞう☆
28
ここしばらくの間に、この時代の小説を何冊も読んだ。杉本苑子さんと永井路子さんのものを。お二人とも、藤原氏と蘇我系の女帝たちとの確執を描くが、そもそもの不比等と持統天皇との仲は描かれたようなものだったのかどうか疑問。そこにこれほどまでの齟齬があって、不比等は位人臣を極めることができたのか?かの草壁皇子の佩刀の件はどう説明するのか?この一連の小説が書かれた後に多くの考古学上の知見もあり、なんともいえないが。2016/07/31
鐵太郎
24
「沈静婉戀にして華夏載せ佇り(慈悲深く落ち着いた人柄であり、あでやかで美しい)」と讃えられたけれど、歴史上ではほとんど注目されない未婚の元正女帝を主役に、蘇我氏と藤原氏の政治構想を絡めて描きだした歴史絵巻。普通中学高校では乙巳の変のクーデターで中大兄皇子と中臣鎌足により蘇我氏は滅ぼされたように習うのだけど、実際はその後百年以上天皇家の中にあって皇統に関わり続け、蘇我系の中でも権力抗争があったという。また藤原氏は鎌足の時代では鳴かず飛ばずで、不比等とその子らの時代にようやく興隆を迎えたとか。歴史は面白い。2025/09/25
ユウユウ
21
毎年再読。蘇我と藤原の闘い。女帝や女系の問題。史実として論じられるような内容を読みやすく、かつそれぞれの心理描写を鮮やかに描き出している。2020/04/05
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