出版社内容情報
首席家老・又左衛門の許に果し状が届く。かつて同門の徒であり、今は厄介叔父と呼ばれる市之丞からであった―武家小説の傑作長篇。
首席家老・桑山又左衛門の許に、ある日果し状が届く。恥知る気あらば決闘に応じよ、と。かつて同じ部屋住みで、同門・片貝道場の友であり、今は厄介叔父と呼ばれる市之丞からであった。
策謀と収賄。権力に近づいて腐り果てるのがおぬしの望みか―面罵する市之丞に、又左衛門はどう応えるのか…?運命の非情な饗宴をくまなく描いた、武家小説の傑作。
新装版の文庫解説は直木賞作家・葉室麟氏。
内容説明
首席家老・桑山又左衛門の許に、ある日果たし状が届く。恥を知る気持ちが残っているなら、決闘に応じよ、と。相手は野瀬市之丞。同門・片貝道場の友であり、未だ娶らず禄を食まず、厄介叔父とよばれる五十男である。「ばかものが」戸惑いつつも、又左衛門は過去を振り返っていく―。運命の非情な饗宴を描く、武家小説の傑作。
著者等紹介
藤沢周平[フジサワシュウヘイ]
昭和2(1927)年、鶴岡市に生れる。山形師範学校卒。48年「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞。平成元年、菊池寛賞受賞、6年に朝日賞、同年東京都文化賞受賞、7年、紫綬褒章受章。9年1月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じいじ
109
【海坂藩城下町 第3回読書の集い「冬」】参加作品。 2018年の初読みは、大好きで安心して読める藤沢周平に決めていた。たくさんの候補の中から、悩んだ末に武家モノ『風の果て』を選んだ。「恥を知る気持ちが残っているなら五日後に…」との果たし状が、主人公・家老又左衛門に届くところから物語が始まる。静寂の中に虫の音が……藤沢さんの情景描写に心が研ぎ澄まされます。―感想は下巻にて…。2018/01/04
ふじさん
89
片貝道場に通う部屋住みの若者の青春群像物語。首席家老・桑山又左衛門に、同門の友で今なお禄喰まぬ厄介叔父と呼ばれる市之亟から果たし状が届く。同門の5人の若者の運命が如何に。運とは?悲運とは?運命の非情さを巧みに描いた長編。後半の展開が楽しみだ。武家社会における次男、三男に生まれた人々の非情な現実が心に迫ってくる。希望と絶望が若者の心に交差する、閉塞感が漂う今の時代にも通ずる物があるような気がしてならない。 2022/02/24
さつき
76
首席家老桑山又左衛門のもとに届いた一通の果たし状。それは若い頃同じ道場に通った幼馴染、野瀬市之丞からでした。二人は共に小禄の武家の次男三男坊。婿の口がかからなければ、一生「厄介叔父」として冷や飯を食う境遇。不安定な時を共に過ごした二人の道が、どのように分かたれて行くのか、過去と現在を行きつ戻りつしながら話しは進みます。陰謀あり、斬り合いありで緊迫した場面で終わっていて、続きが気になります。2019/01/24
佐々陽太朗(K.Tsubota)
76
百田尚樹氏の『影法師』の連想で読むことにした。上士と下士の間の厳しい身分制度、部屋住みの身の悲哀、婿養子に入ることでどうにか一人前として扱われ、己の才覚を発揮する場も与えられる。生きて行くにも恋愛をするにも壁だらけの中で、なんとかその壁を突き破ろうとする者、壁に阻まれたままの境遇の中で自分の生に意味を見いだそうとする者、様々な生き方と運命のいたずらが錯綜するなかで、若き頃、同じ道場に通った仲間がそれぞれの人生行路が決まってゆく。人は「生まれではなく、どう生きたかだ」と思いたい。下巻にすすむ。2014/03/23
Atsushi
52
130石の軽輩の次男として生まれた上村隼太(のちの桑山又左衛門)が筆頭家老に上り詰めるまでの成長譚。若い頃同じ道場で学んだ五人の仲間が成長とともに数奇な運命に翻弄される。上巻ではその様が重苦しく何ともやるせないままだが、下巻の展開に期待感が膨らむ。2018/11/02
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