出版社内容情報
名作「土」の作者であり、子規が最もその才を愛したという長塚節。旅と歌作にそのみじかい生涯を捧げたこの稀有の人をえがく鎮魂譜
内容説明
37年のみじかい生涯を、人間の世の中に清痩鶴のごとく住んだと悼まれ、妻も子ももたぬまま逝った長塚節。子規にもっともその才を愛されたこの歌よみは、同時に名作「土」を生んだおおきな作家でもあった。旅と作歌にこわれやすい身体を捧げた稀有の人、その生のかがやきを清冽な文章で辿る会心の鎮魂賦。吉川英治文学賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tnyak
3
旅と作歌に身体を捧げた長塚節の半生を描いた力作だ。 2023/08/14
かみふうせん
3
長塚節という人の話。歌人・小説家。グーグルで見たらとても優しそうな日本美男子。若くして亡くなってしまった。歌の為、旅好きの為、高熱なのに旅して周る、今のコロナの時代では考えられない行動。今の時代に生きていたら若くして亡くなる事も無かったんじゃないかな。2021/02/18
tnyak
1
長塚節の生涯を描いた力作。2021/06/22
大川 宏
1
藤沢周平を読んできて、「白き瓶」読了。 本に解説は基本的に不要と考えている。しかし、清水房雄の解説は素晴らしく、「骨の折れる面白さ」とは正にこの本を表し過不足がない。歌心がないので、歌の部分は未消化になるのはこちらの責任。藤沢周平作品としては異色に見られそうだが、外せない作品だろう。短歌も知らねばと思うし「土」も読まねばなるまい。2016/08/18
kj54
1
長塚節の伝記小説。多くの資料をもとにした引用も多く、正直読みにくくななめ読みの部分も。それでも節の一種清廉で短い生涯は強く心を打つ。以下余談。思いの外下野・常陸あたりの農村の情景が印象に残った。「土」も読んでみようかな(挫折しそう)。さらに余談。伊藤左千夫はどこへ出てきても強烈。終盤まで節と左千夫のねじれた友情がメインに感じた。さらに左千夫については「用心棒月日抄」の細谷を思い出してしようがなかった。2014/06/05