出版社内容情報
博徒、人足、酔いどれなど巷のあぶれ者たちの哀歓あふるる人生絵図。"裏店ものがたり"として定評ある、この作者ならではの市井小説。初期の秀作短篇六篇を収む
内容説明
朝の清々しい光のなかを娘は竹竿に縋って歩いてゆく。一心不乱、黒い眸を活きいき輝かせ歩く稽古をしているのだ。それは疲労しきった男の胸に沁みた。男の身体は賭場の匂いに濃くつつまれている。博徒の孤独な心象を鮮やかにえがく表題秀作のほか、人足、荒くれなど、巷のはぐれ者たちの哀切な息づかいを端正に捉えた短篇名品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kira
16
前回読んだのはいつなのか不明だが再読。町人の男たちの孤独な心象を描いた六篇を収録。どこかで狂ってしまった運命に流されていく男もいれば、かすかな光を見出だした矢先にまたも希望を失う男もいる。救いのありそうな終わり方をしているのが少ない、というのが哀しい。2022/11/21
宇和島太郎
1
おふくがいちばん怖かった2023/07/13
山内正
0
おふくの家から客が次に両親とおふくと弟 新しい帯を締めて小さな顎で 原っぱで置いてけぼりし一人で戻ろうとし 後悔しおふくの前に、何でそうしたのかは覚えていない、おふくは涙を流した事が 男相手の商売って聞いたと父親が これ持ってきなよと胡桃一つ渡し達者でなと おなみの店に月二度飲みにいく 好きでも無いくせに親切にしないでよ 金なんかくれてさ その内おなみと所帯を持った この場所と金額と日付の書付を差し出す 相手は待ち構えていた 匕首を抜き男を跳ね返し逃げた 三年し江戸の店の庭におふくが 細い目で子を抱いてた2022/12/22