内容説明
五世紀半ば、倭国は大王允恭(倭王・済)の死後、王家の息子達、その従兄市辺押羽王らの政権抗争の中にあった。一方、朝鮮半島では高句麗国が半島制覇を窺っていた。百済王の弟昆支王は倭国との同盟を模索すべく渡来。勇武に優れた允恭の五子ワカタケル(後の倭王・武)は昆支王に先進文化と情報戦略を学び、次々と反対勢力を制圧する。
著者等紹介
黒岩重吾[クロイワジュウゴ]
大正13(1924)年、大阪に生れる。同志社大学卒業後、さまざまな職業遍歴ののち、昭和35年「休日の断崖」で文壇に登場、「背徳のメス」で第44回直木賞を受賞。55年「天の川の太陽」で第14回吉川英治文学賞を受賞。平成3年紫綬褒章受章。また「弓削道鏡」など一連の古代歴史ロマンにて、4年第40回菊池寛賞受賞。平成15年没。享年79
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感想・レビュー
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kiiseegen
8
倭の五王、武、雄略天皇の物語。如何にして大王の位へ就くのか...兄弟、一族との勢力争いへと着々と準備中。黒岩古代史観に今更ながらズッポリハマる。2019/05/10
くっちゃ
6
神功皇后の後に読むので、話の流れや相関図が掴みやすい。しかも、神功皇后とよりも、この時代の具体的な出来事を記した資料が多いせいか、ほぼ作者の想像や予測で描かれた神功皇后よりも史実濃度高め。(西暦もはっきり明示される)前作も良かったが、こちらは更に面白い。ワカタケル王子はタラシナカツヒコ王子と性格が似ているけど、彼よりも賢明な印象を受ける。神功皇后では100%味方だった武内宿禰の子孫が、近作ではむしろ障害となっているところが、歴史の流れの残酷さを感じさせる。2016/08/03
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
5
**天皇小説・ワカタケル大王(雄略天皇)・上巻**感想は下巻でまとめます。 2014/03/01
rei
4
倭の五王、なかでも武は力のある大王で雄略天皇だといわれている・・・的なことをたしかテストまえに脳みそのどこかにぶちこんだ・・・記憶はある。でもまぁそれくらいの知識しかないし、おまけに時代の背景は高句麗、百済、新羅、任那、そして宋がからむ複雑さ、はたして読みきれるかしらと心配だったが。ペタンと紙にはりついた文字だけの存在だった彼、ワカタケルはみごとに立体化し活き活きと動き出した。けっして完璧なヒーローではなく、むしろちょっと乱暴すぎる気もするがその勢いが物語をひっぱる。退屈するまもなく、下巻へつづく。2013/01/16
可兒
3
大悪天皇とも有徳天皇とも呼ばれる個人的に謎の人物、ワカタケル。この強烈な個性であろうキャラをどう作るのかと思っていたら、やっぱりパワーの人でした。でもそうでもなければあの事績は無理だっただろうな2013/09/17