出版社内容情報
山を愛し、山に消えた不世出の冒険家が、一九七〇年、日本人として初登頂したのをはじめ、六回のエベレスト行のすべてを語る。植の登山観、死生観が読みとれる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
81
犬ぞりによるグリーンランド単独横断などでも知られる冒険家植村直己。彼はまた日本人初のエベレスト登山者でもある。登山技術や体力面では決して一流ではなかった植村氏。その5回にわたるエベレスト登山への思いがこの本には記されている。この著作後、厳冬のマッキンリーで遭難し、帰らぬ人ととなってしまった事が残念でならない。★★★
100
55
個人行動で成功した今までの冒険と違って、チームでしか達成できないエベレストに挑む。登頂したいという強い意志が向上心競争心を溢れ出させ、頂きに立たしめた。2023/05/06
hatayan
45
冒険家・植村直己がエベレストに挑戦した記録。 植村は1970年に日本人で初めてエベレストに登頂するも、71年の国際登山隊では隊員の身勝手な行動が災いして隊は空中分解、81年に植村が隊長を務めた冬期登山隊では隊員の死により登頂を断念、必ずしも幸運に恵まれたわけではありませんでした。 終生単独行を好んだ植村がパーティの一員として動きながら秘かにライバル心を抱く記述は本書ならでは。人間の抱く当然の感情を素直に読むことができます。 『青春を山にかけて』と合わせ読むと本書では植村の葛藤や苦悩がにじみ出るようです。2019/11/04
Kajitt22
36
輝ける青春の日々を、世界中を舞台に綴った『青春を山に賭けて』につづき、エベレストに焦点を当てた続編。十年間にわたる数度の挑戦を詳しく書いた文章からは、エベレストの厳しくも美しい魅力とともに、著者の誠実さと謙虚さが、そして何よりも強い意志が滲み出ている。1981年冬季登攀では隊長として「山では絶対に死んではならない」と登頂を目前にして撤退を宣言し、最後のエベレスト挑戦となった。それなのに数年後マッキリンリーに消えるとは。再読。2018/05/23
A.T
21
植村さんはわたしの子どもの頃、おぼろげな冒険者という印象の人だった。その人の著書というので、明るい冒険譚を想像していたが…世界最高峰エベレストを日本人で初めて登頂したことの、運も実力も自力も他力も備えた結果だということの重み。1度の登頂で満足せずに、その後も挑戦し続け、結局その後2度とも未登攀に終わることの方がさらに重みを持ってくる。エベレストは植村さん自身の集大成のような存在のように思いました。2017/10/19