内容説明
「戦艦武蔵」「深海の使者」などの戦史小説、「長英逃亡」「生麦事件」などの歴史小説を精力的に発表してきた著者は、その綿密な取材と細部へのこだわりでも知られた。作家はどこで素材と出会い、どのようにして調査を進め、歴史の“真実”に肉薄するのか―。作家の史実への姿勢を、失敗も含めて率直に綴った、とっておきの「取材ノート」。
目次
「破獄」の史実調査
高野長英の逃亡
日本最初の英語教師
「桜田門外ノ変」余話
ロシア皇太子と刺青
生麦事件の調査
原稿用紙を焼く
創作雑話
読者からの手紙
著者等紹介
吉村昭[ヨシムラアキラ]
1927年、東京生まれ。学習院大学中退。66年「星への旅」で太宰治賞を受賞。同年「戦艦武蔵」で脚光を浴び、以降「零式戦闘機」「陸奥爆沈」「総員起シ」等を次々に発表。73年これら一連のドキュメンタリー作品の業績により第21回菊池寛賞を受賞する。他に「ふぉん・しいほるとの娘」で吉川英治文学賞(79年)、「破獄」により読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞(85年)、「冷い夏、熱い夏」で毎日芸術賞(85年)、さらに87年日本芸術院賞、94年には「天狗争乱」で大佛次郎賞をそれぞれ受賞。97年より芸術院会員。2006年7月31日永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
62
これは『破獄』『長英逃亡』『桜田門外ノ変』『生麦事件』ほか著書8作についての取材ノートのような内容。たとえば大雪の朝起きた桜田門外の変。吉村さんはこの雪が何時ごろやんだのかが小説を書く上で重要だったといい、ようやく見つけた水戸の豪商の日記を参考に“八つ(午後2時)すぎ”として出版。が、後に“九つ(正午)ごろ”と判明。以後の増刷では訂正されたとか。そんな吉村さんの緻密で厳しい取材の一端を垣間見るエピソードがいっぱいで、読みたい本がまた増えました。2022/09/27
けぴ
54
徹底した資料集めの後に小説を執筆する吉村さん。しかし、過去には尊皇攘夷の思想の理解が足りないうちに252枚の原稿を書いたところで、調べなおし、すべて書き直したエピソードが語られる。252枚は迷いなく焼却。ワードと違い原稿用紙の書き直しはさぞかし残念だったことでしょう。自分に厳しい吉村さんらしい話しでした。2020/03/18
KAZOO
47
これは吉村さんが書かれた歴史っ小説の舞台などや考証についてのエッセイです。読んでいて司馬さんの「街道をゆく」を思い起こしました。ここの書いてあるすべてが小説と関連があり、私はまだかなり読んでいない小説があるので読もうという気にさせてくれます。非常にご自分の書かれた小説については、その後の資料発見などから推敲を重ねておられる感じがしました。2014/10/31
金吾
42
○吉村さんの作品へのこだわりが感じ取れます。徹底的な資料の読解があるので、吉村さんの著書は精巧で読みがいがあるのだなと感じました。作品書き直しの話や作品のうら話も読めて良かったです。2026/02/02
kinupon
42
著者の取材には頭が下がります。すべての作品を読みましたが、こんなにも取材していたのかと、改めて頭が下がります。2021/03/17




