文春文庫<br> 東京の下町

文春文庫
東京の下町

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 233p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784167169145
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

時・昭和の初め、所・日暮里。著者を温かく育んでくれた大都会のなかのなつかしいふるさと。その思い出の数々を愛惜の念をこめて

内容説明

夏祭り、映画館、火事、物売り、正月、演芸、大相撲、さまざまな食物、町の事件あれこれ…。昭和2年生れの著者が幼少年期を過した、大都会の中のなつかしいふるさと、日暮里。そこで紡いだ想い出の数々を愛惜の念をこめて綴ると共に、戦前の庶民の生活を生き生きと描き出した好エッセイ。

目次

夏祭り
黒ヒョウ事件
町の映画館
火事
物売り
町の正月
町の小説家
不衛生な町、そして清掃
演芸・大相撲
食物あれこれ
町の出来事
ベイゴマ・凧その他
白い御飯
台所・風呂
説教強盗その他
曲りくねった道
捕物とお巡さん
戦前の面影をたずねて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シュラフ

34
昔のことを知るのは映像とか写真が一番だと思っていたのだが、そうではないことが分かる。その時代の空気に触れることができるのは実は文章なのである。このエッセイ集を読んでいるとなんとも昭和初期の時代の空気が伝わってくるではないか。あらためて文学の意義を認識する。しかしながら吉村昭自身が書いていることなのだが、事実関係を再確認してみるとなんと勘違いしていたことが多いことなのだろう。自分がこうだと思っていたことが、実はそうではなかった。歴史の証言には思い込みがある可能性がある。我々が歴史を学ぶうえで教訓になる話だ。2016/07/28

mondo

20
東京の下町は、昭和30年代を経験している人なら、そうそうとうなずきながら読んでいたのでは。私も東京の下町に住んでいたわけではないが、共感を覚えたし、懐かしく読ませていただいた。しかし、よく細かい描写を覚えていたものだと驚く。吉村昭さんの作品の中では、最終に近いこともあって、地元の話が思い出として描かれている。「其の十六 曲がりくねった道」は吉村昭さんの生まれ故郷をあらためて訪ねた作品である。先日、私も歩いてみた。2020/10/05

ふるふる

13
あとがきに「とかく、過去は美化されがちである。下町ブームとかで、すべてが良き時代の生活であったかのごとく言われているが、果してそうであったろうか。たしかに良きものがありはしたが、逆な面も多々あった。」とあるが、衛生面や開戦後の物資不足などを想像すると確かに自分には当時の生活は無理だろうな、と思った。蚊帳や蠅とり紙、汲み取り便所などはわかるが、文章を読んでも容易に想像できない事柄も多く、思っていたより読むのに苦戦してしまった。2016/09/10

naotan

11
昭和の下町の風俗を綴ったエッセイ。昭和の時代を知る世代にとっては色々懐かしかったり、感心したり。大地震の教訓は覚えておこうと思った。2018/03/18

荒川ながれ

4
東京の戦争に続いて、読んだ。よかった。安田武が貴重な資料というのもうなづける。今、田端周辺に住んでいるので、日暮里周辺の昭和初期の生活がうかがい知れる。子供がトンボを追いかけたり、凧を揚げたり。赤痢やチフスが怖かったり。また、関東大震災について、父親から聞かされていたのは、怖いのは地震ではなく、そのあとの火災。手ぶらで逃げろとの教訓。2016/04/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/137437
  • ご注意事項

最近チェックした商品