出版社内容情報
巨大な戦艦武蔵にまつわる数々の裏話、取材で出会ったさまざまな人たち、身近のことなどをおりまぜて、小説、『戦艦武蔵』を書くまでをいきいきと描いた作家の内側
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
29
吉村昭が「戦艦武蔵」を書き上げるまでのメイキングノンフ。本編?の小説と合わせ読むと面白さ倍々増! 売れない純文学作家だった吉村さんが武蔵の極秘資料を友人から託された事がきっかけで次第にとことん調べの鬼になってゆく様がめっちゃ面白い。昭和40年当時はまだ武蔵に関わった当事者たちもほぼ生きてるし、個人情報も非常にユルイので、この時に吉村さんが徹底して調べてくれなきゃ歴史の闇に埋もれるとこだったんだなー。 文庫の解説は本田靖春。図書館で借りたけどだいぶ茶ばんでました。その後岩波文庫からも再版されてるよう。2020/09/22
しんさん
7
名作「戦艦武蔵」誕生の舞台裏。取材、執筆が行われたのは「戦後20年」といわれた頃で、乗艦者、設計者などでご存命の方も少なくなかった。多くの方の熱量、恐怖、無念さを聞き取ったことで当時の空気が伝わる、こちらも名作。2022/05/04
Shinya Ishikawa
3
出世作「戦艦武蔵」を世に問うまでの経緯を綴った「ノート」。武蔵もよかったが、本作がまた実にいい。武蔵を書くことになったきっかけ、当時の生活、取材、執筆、出版後...。書く動機を定めるまでの心のプロセスや、書きなれない主題に正面から真摯に対峙し、着実に作品を作り上げていく姿勢に、感じるものは多いです。脱稿直後に吉村さんに起こった現象は、作家としての吉村さんのひたむきさをまさに物語るものでしょう。気持ちの積み重ねが人生という結果になるのだな、と思いました。武蔵既読の方にも未読の方にも、お勧めしたい本です。
amabiko
1
『戦艦武蔵』に引き続き、本書を読む。両書は車の両輪で、片方を欠くとその魅力は半減する。逆に両書を併せ読むとその素晴らしさも増す。またいつか、再読したい。2021/02/20