出版社内容情報
大正十二年九月一日正午直前、突如関東を襲った激震は、直後に発生した火災と相まって、おびただしい死者を出した。克明にパニック状況を再現した菊地寛賞受賞作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねんまに
6
資料類の貼り付けなどもあり、ほぼ完全に記録小説と言える作品でした。そのため筋らしい筋はなく、淡々と事実が描かれているのみなのですが、それが余計に当時の暗い状況を感じさせました。しかしいつの時代でも人々の行動は似たようなもので、風説の流布による朝鮮人の虐殺などは、東北大震災後のTwitterでのデマと全く同じ状況だったし、ツールの有無は大きな問題ではなく、結局は人間の本質が引き起こすことなのかと考えると、不可避なのだろうなと思いました。2021/11/07
卯月
5
東京帝大の今村明恒は、過去の統計から、今後50年以内に東京を大地震が襲うと警告。上司の大森房吉は趣旨は理解しつつ、民心安定のため強く否定する。そして、大正12(1923)年9月1日。後藤新平の伝記で、東京市内の大被害(と復興計画)は少し読んでいたが、本所被服廠跡、凄まじい……。地震後は荷物を捨てて避難しないと、荷物に火が燃え移る。東京以外の被害は何も知らなかった。地震後に朝鮮人虐殺と社会主義者弾圧、甘粕事件が起きたことは知っていたが、発生に繋がるような(震災前からの)時代背景も描かれる。流言を信じる怖さ。2021/01/11
りっちー
2
吉村昭の書いた作品という事で手に取りました。 関東大震災に関連した学者のことや、東京を舐めつくした火災のこと、朝鮮人への流言による殺害や暴行とマスコミや警察や軍の動きなど、災害後の街の様子など、壮絶な内容。 同じことが今の東京で起きるかもしれないと考えると眠れなくなりそう。2021/05/23
マサメーター
2
6.52018/01/30
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- 和書
- 中国と日本の神話と文明