内容説明
江戸の大川端にある小さな旅篭「かわせみ」。そこに投宿する様々な人たちをめぐっておこる事件の数々。その渦の中に巻きこまれながら、宿の若い女主人るいと恋人神林東吾の二人は、互いに愛を確かめ合い、次第に強く結ばれていく…江戸の下町情緒あふれる筆致で描かれた人情捕物帳。人気シリーズ「御宿かわせみ」新装版第一弾。
著者等紹介
平岩弓枝[ヒライワユミエ]
昭和7(1932)年、代々木八幡神社の一人娘として生れる。30年日本女子大国文科卒業後、小説家を志し戸川幸夫に師事。ついで長谷川伸主宰の新鷹会へ入会。34年7月「鏨師」で第41回直木賞を受賞。平成3年「花影の花」で第25回吉川英治文学賞受賞。平成10年、第46回菊池寛賞を受賞。テレビドラマ、芝居の脚本も数多い
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
83
とうとう、捕物帳の大ベストセラー(もう古典といってもいいかもしれません)に手を出しました。この小説の特徴の一つは、主人公たちが与力や同心といった捜査機関の中の人間ではないという点でしょう。ただ、主人公の周辺には八丁堀関係者たくさんいて、犯罪に出会う機会が多いのです。市井の人間の眼で事件を観察できることが、物語に膨らみを与えてくれています。だからこそ、人と人の関係こそが浮世のすべて、と思わせられるのかもしれません。そこで生きている人は江戸時代の人ですが、身近にいる「現代人」と変らないだと気づかせくれました。2024/10/13
がらくたどん
75
平岩弓枝さんを偲んで。小体ながら気持ち良い旅籠「かわせみ」の若女将るいは元八丁堀同心の一人娘。宿泊客が持ち込む事件を恋人の東吾とその友人・頼りになる旅籠の使用人達が人情家のるいを助けて「せめてもの」手を差し伸べる人情劇。事件は周囲の想いも虚しく悲劇に終わることも。人が人にしてやれる事なんてタカが知れている。でも「せめてもの」思いが届けと悩み走り祈る。この無力を承知で灯す光がこのシリーズの稀有で素敵なところと思う。幕開けの一冊なのでるいも東吾も若くぎごちなく愛のオーラに包まれてかわいい。弓枝さんありがとう♪2023/06/30
AKIKO-WILL
70
高田郁さんの時代小説を読んでから時代小説にハマり、他の時代小説を読みたくて、色々探していてこの平岩弓枝さんの時代小説シリーズに行き着きました。かなり長いシリーズだからきっと面白いはず!東吾とるいの関係も今度気になりますが、1冊に8編の話も入っていて、どの話も良かったです。ちょっとずつ読んでいきたいですね!2016/02/22
ALATA
53
今更だけど平岩さん初読み。NHKで昔ちょっと見ていて気になっていた。 旅籠「かわせみ」を舞台に同心の一人娘るいと幼なじみの神林東吾の恋模様や市井の事件を綴る連作集。八丁堀同心、兄の通之進や畝源三郎、かわせみの奉公人嘉助・お吉など皆いい味を出している。「宿屋というものは可笑しなもので、客が一組入っただけで台所も風呂場もいきいきと動き出す」ミステリー仕立てもあるが「卯の花匂う」「秋の螢」などの人情ものも良かった。★4 ※また、追っかけるシリーズが増えてしまった…2021/03/18
酔拳2
52
やっと読めたぜ、第一巻!たくさんシリーズあるからこれから読む者に困らんなw。御宿かわせみの女主人るいと同心与力の弟、東吾の物語。宿泊客がいろいろ事件に巻き込まれるけど、るいと東吾、友人同心源三郎がスパッと解決。るいはさ、気立てもよくて分別もあって、時には向こうっ気もあるんだけど、東吾のことになるとうぶい!驚くくらいうぶなんだけど。そんなにいい女って江戸時代にはいたのか?個人的は源さんがいい味出してると思います。2016/10/06