出版社内容情報
一振りの長曾彌虎徹の真贋をめぐって、ニセ銘切りの名人と鑑定家の死を賭けた執念の闘争を描く直木賞受賞の表題作ほか、「神楽師」「つんぼ」「狂言師」「狂言宗家」収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃんにゃんこ
8
短編集4編。いずれも日本の芸能に生きる人々の物語。芸能への愛情、情熱が有るがゆえに妥協せず厳しい生き方を選んでしまう。周囲との軋轢から衝突や孤独を招いてしまう。 作家の人物の心情の描き方が上手く、どの登場人物も感情移入しやすく好きになってしまう。余韻を残す終わりでも、これはこれで良いと納得できる。各芸能の世界が詳しく書かれ、とてもフィクションとは思えない。まるでその場に居るような臨場感は作家の力量であろう。登場人物の心情を上手く書ける作家は少ないが、平岩弓枝はその一人であろう。2023/04/09
キムチ
1
筆者が直木賞を受賞した作品。文庫本の開設に、その受賞のくだりが書いてあるがこれも興趣深い。昭和34年の作であるが「直木賞」というのが如何にも新鮮味があるのはなぜ?芸術家がらみで5作が登場するがどれも重々しく、文を丹念に読まされた。受賞作が迫力あって面白いのは当然ながら「つんぼ」という作品・・老いと若さとの生々しい対峙が根底にあり、短編ながら、力がみなぎっている。2012/07/26
renren
1
まだ短編をこれらだけしか書いていなかったときの作品とは思えない完成度。正直熟練した作より好きかもしれません。芸の道、職の道、至芸に生きる男たちの相克と意気地。血縁や婚姻によって受け継がれるものだけに、そこには芸の厳しさだけでなく血の美しさ醜さも如実に表れる。「狂言師」の芸と芸、意地と意地のぶつかり合いがすごかった…。同時に、若かった平岩さんにしか書けない、若者の意地や葛藤、親というものへ反発や愛が等身大にリアルに描かれている。すごい。2011/09/29
Hula
0
★★★★☆ 直木賞(第41回 昭和34年)2014/08/05
KAZ
0
*+「鏨師」 **だと思うのは神楽師と狂言師。他は、ストーリーがちょっとわざとらしい。しかも鏨師とつんぼは、落ちが見える。狂言宗家は、何も感動しない。 あとがきが面白い。 15/032015/03/31