出版社内容情報
北朝鮮へ不法に拉致された韓国の女優と映画監督の恐るべき報告。北朝鮮の、特に金日正のことが生生しく伝えられ、大反響を呼んだ
内容説明
“人民の名により銃殺刑に処す”北朝鮮のその大女優は心中事件で生き残ったという失態を理由に、知らずに招集された映画関係者の見守る中で公開処刑された…。近くて遠い国北朝鮮の信じがたい実態を、強制的に連れて行かれ、のち西側へ劇的な脱出を果たした韓国人がなまなましく証言する。世界を震憾させた驚異のレポート。
目次
第4部 釈放(ソウル・オリンピック;南の空に唾を吐け;無実の囚人、李羅英;少女の祈り;人民俳優禹インヒの処刑;金正日がおくった特使 ほか)
第5部 再会(1983年3月6日;申監督、どうしてここに;わたしの芝居を許してくれ;あの賞賛は全部ウソです;呉振宇の招待;北朝鮮に輸出された韓国映画;北朝鮮芸術の現状;芸術家気質の金正日 ほか)
第6部 偽装(生命がけの録音;録音された対話;甦る申フィルム;自由を目前にして;「帰らざる密使」;わたしたちは生きている ほか)
第7部 脱出(モスクワ映画際;いっしょに満喫する自由でなければ;わたしたちが育てた新人俳優;餅と少年;7人のボディーガード ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あや
3
単行本で読みました。その劇的さに一気に読んでしまった。命がけの脱北。もうだいぶ前の発行の書物だけど北朝鮮の思想統制の厳しさとかあり方の実相に迫るノンフィクション。広く読まれてほしい。2020/10/21
Arte
2
改心した振りをしてやっと出してもらってからは、東欧を拠点にして、怒涛の勢いで元妻と映画を作りまくり、2年後にウィーンに行った時に、アメリカ大使館に駆け込んで亡命する。金日成を褒め讃える文化事業を推進したことで父親の信任を得た金正日は、世界中から映画フィルムを集めさせ(外交官に違法コピーさせて外交袋に入れて運ばせたりも)物凄いコレクション館を作っていたらしい(しかも基本的によその人には見せない)。オタクの望みの極致やな。おまけに俳優と映画監督まで誘拐させ、個人崇拝を強制するとは。2024/03/31
ナナミ
1
実際は池田書店発行。うまく脱出できるまでハラハラした。1986年当時の事実。かなり克明に金正日や社会構造、接触があった一般市民の生活など書いてる。かなり厚遇され、存分に映画に没頭したようだ。驚くことが多い。当時より各国から拉致していた。日本人拉致の記載がないが、出版当時もっと突っ込んで調べてたらと思う。日本人の出入りや朝鮮総連の出入りはあり、謎の国でもなかったよう。議員も金日成と会談している。日本とはかなり別世界。一般人の自由がない。記憶力がすごくて驚く。脱出後のことも知りたい。興味深く読んだ。 2017/05/19