出版社内容情報
雑誌編集者の彩子、歌手志望の町子、金儲けが趣味のOL美紀。3人の恋愛と人生に「男の典型」と「女の真実」が描かれる青春長篇。
内容説明
雑誌編集者の彩子、歌手志望の町子、金儲けが趣味のOL美紀。同居生活を送る三人は、それぞれの恋愛、仕事を通して人間の真理に目覚めていく。軽やかなユーモアをまとって描かれる、恋愛の美しさと哀しさ、自立と結婚、「女の真実」と「男の典型」―人生を謳歌する女たちの姿がさわやかな感動を呼ぶ傑作長編。
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年大阪生。樟蔭女子専門学校国文科卒。64年「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)」で芥川賞受賞。軽妙洒脱でユーモラスな小説を主体に歴史エッセイ、評論など幅広く活躍。87年「花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女」で女流文学賞、93年「ひねくれ一茶」で吉川英治文学賞、94年菊池寛賞受賞。95年紫綬褒章受章。98年「道頓堀の雨に別れて以来なり」で泉鏡花文学賞、井原西鶴賞、99年読売文学賞受賞。2000年文化功労者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
87
面白かったです。描かれた時期を考えるとルームシェアという観点は新しいですね。彩子、町子、美紀がそれぞれの恋愛と仕事から人生を見つけていくのには、女性ならではの生き方を感じました。とりまく男たちがどうしようもないのがちょっとアレですが。とはいえ、恋愛の楽しいこと、哀しいこと、切なさ、自立や結婚とったテーマをユーモアを交えて描いていることで、3人の爽やかさが見られます。自分の意思で生きていこうとする女性像がおせいさんらしいと思いました。2018/06/20
優希
53
面白かったです。編集者の彩子、歌手志望の町子、OL美紀という3人の同居生活はそれぞれの生活を通して目覚めるものがあったようです。恋愛や仕事をユーモアに描いていると感じました。それぞれ恋や仕事から見つける人生は、女性ならではの生き方なのではないでしょうか。周りを取り巻く男性はどうしようもないですが、つい振り回されるのが笑えました。恋愛の喜怒哀楽を楽しく描かれていることで、3人の爽やかさが伺えます。自分の人生を謳歌する3人にエールを送りたくなりました。2020/10/17
橘
9
おせいさんのお話の女性は、恋愛していて振り回されているように見えていても、心の底は冷静というのが好きです。 トモ代と時枝みたいになりふり構わず、というのができない。それは彩子、町子、美紀がそれぞれバリバリ仕事していて、男にもたれかかる(というと言葉が上手くないけど…)女性ではない、というのが大きいんだろうな。 でもそれは、相手のことが本気じゃないことの裏返しかも。 しょうもな…という相手だとわかっていても離れがたいのが切ないです。 それにしても、この時代にルームシェアはいいなぁ。さすがおせいさん! 2024/11/25
June
8
年も仕事もちがう、彩子、美紀、町子の三人は安アパートで共同生活をしている。それぞれに男の影が付きまとうが、恋愛の核心はお互いに打ち明けることはなく、それぞれに思い悩んでいる。三人に付きまとう男たちはろくでもない奴らばかり。それでも、読み進むうちに、苦い体験を人生経験とし、力強く生きていこうとする、強くて若い女性の姿を見ることができる。この作品も田辺さん特有の、軽快な会話、全編に流れる明るい雰囲気がある。やはり、田辺聖子さんは、乃里子の恋愛三部作が一番の名作だなと思う。2014/02/17
ゆきこ
5
アパートで同居生活をする3人の女性を主人公にしたお話。3人それぞれの心理描写がとても細やかです。感情移入して、主人公たちとともに一喜一憂してしまいました。20代の女性は共感できるところが多いかも。2015/03/06