出版社内容情報
"星の子"與謝野鐵幹を中心に、絢爛たる恋の火花を咲かせる女流歌人たち。その愛の本然的な姿態を"みだれ髪"の晶子に託し、評論家諸氏の絶讃を博した長篇ロマン!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおにし
10
田辺聖子の晶子への愛が感じられる伝記小説。小説を読むまでは晶子は略奪愛をするくらいの気性の激しい女性という印象でしたが、常に夫の顔色を窺っている弱い女性の側面があり、夫鉄幹を立て陰で支える妻でもあり、11人の子供を育てた母でもあったことを知りました。小説は晶子がパリへ旅立つところで終わっていますが、晩年の晶子の姿まで描いてほしかったです。2018/12/22
双海(ふたみ)
10
「女のさかりの春の肌ほど美しいものがあろうかと思われる」2014/05/29
モリータ
8
◆単行本1972年文藝春秋刊、文庫版(本書)1987年文春文庫刊。◆渡仏あたりまでの晶子・鉄幹の伝記的小説(or小説的伝記)。主要な歌も織り交ぜてあり読みやすい。林瀧野や山川登美子についても思い入れありげに書かれている。2022/12/09
Voodoo Kami
3
晶子の評伝というよりは、明治30-40年代頃の若き歌人たちの青春群像物語として読みました。短歌で若者の血がたぎる時代があったのですね。女性視点なので鉄幹のダメ男ぶりが容赦なく描かれてはいるものの、ある種の女性にとってはそれ故に魅力的だったはずだというほのめかしもあって、決して断罪はしていません。というか鉄幹記述が全体の半分近くあるのでは。そして正妻だった瀧野への共感がかなり大きい。乱れ荒ぶる晶子とは真逆である瀧野の存在が、現実との唯一の接点にも私には見えて、この本では晶子よりも印象に残りました。2015/02/20
Noelle
2
歌から想像していた恋に生きただけの晶子さんと違って、現実に生き、暮らし、苦労もしたであろう様がありありと感じられた。熱い女であった晶子さんと、熱い男でありながら子供のような側面のあった鉄幹さん。二人の出会いが、かくも流麗な歌人を世に残したのだから、その出会いは必然だったのだろう。周囲のこれもまた才能溢れた女流歌人たち、鉄幹の恋の相手たちも含めて、著者の晶子に対する敬慕が、本書の底流を流れていて、一方、お聖さんのちょっとダメ男への愛しい目線も感じられ、まさに田辺聖子の「与謝野晶子」であった。2015/05/08
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